公取委、物流センターフィーを代金から不当減額のサンクゼールに再発防止勧告

公取委、物流センターフィーを代金から不当減額のサンクゼールに再発防止勧告

総額3725万円、納品場所変更などの機会与えずと認定

公正取引委員会は3月19日、長野を地盤としてジャムやワインの製造などを手掛けるサンクゼール(同県飯網町)に対し、食品製造を委託している事業者31社へ支払う代金を不当に減額し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の規定に違反していることを理由に、再発防止策を講じるよう勧告した。

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公取委によると、サンクゼールは2017年12月~19年7月の間、下請けの事業者が商品を納める物流センターの運営などに関する費用を「センターフィー」と称し、支払い代金から差し引いていた。減額分は約3725万円。

公取委は、下請け事業者は物流センターに納品すれば取引条件を満たすため、その先の店舗配送などに関する物流コストを負担する理由はないと指摘。15年12月からのセンターフィー徴収開始に際し、下請け代金の単価改定の機会を事業者側に与えず、納品場所を物流センターからサンクゼールの店舗に変更する機会も提供しなかったと断じている。

その上で、下請法の順守体制を整備するとともに、今後減額しないと取締役会で決議した旨を同社内で周知徹底することなどを勧告した。

サンクゼールは「当社の対応が不十分だったと真摯に受け止めている。該当のお取引先さまに対し、減額に相当するとされた金額を全額、既に返還した。今回の勧告を真摯に受け止め、勧告内容を役員および従業員に周知徹底するとともに、下請法順守に関する社内研修を実施するなど、引き続きコンプライアンスの強化と再発防止に努める」と謝罪するコメントを発表した。

(藤原秀行)

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