コロナ拡大で国交省が特例、MKなど相次ぎ参入
国土交通省が新型コロナウイルスの感染拡大で利用減に見舞われているタクシー業界や飲食店を支援するため、タクシーが食事や飲料などを有償で運べるよう5月13日までの期間限定で認めたのを受け、タクシー事業者が相次ぎ運送の許可を申請、参入している。
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大手のエムケイ(MK)グループは4月22日に京都運輸支局、同23日には札幌運輸支局からそれぞれ許可を取得した。いずれも地元の飲食店向けに同28日からサービスを開始する予定だ。
京都の場合、料金は配達先1件当たり110円(5月6日まで、それ以降は550円)で、専用バッグに入れて車両のトランクで運び、対象は店舗から半径5キロメートルとする。既に人気店の弁当と日本酒をセットで届ける「オリジナル宅配セット」を取り扱うことも発表している。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、タクシードライバーは極力宅配商品に直接触れないよう配慮する。
岐阜県でも、地元の岐阜交通東部(岐阜市)と日本タクシー(同)、共立タクシーの3社が岐阜運輸支局から相次ぎ許可を取得。岐阜交通東部は「フード速タク」と銘打ち、岐阜市内などを対象に宅配を展開している。集荷場所から5キロメートル以内で1件当たり700円(税別)から受け付ける。
地元名産の和菓子を宅配で店舗から同市内などに届けるギフトサービスも打ち出すなど、着実に需要を掘り起こしている。日本タクシーと共立タクシーは居酒屋の料理を宅配する方向で準備を急いでいるようだ。
石川県の小松タクシー(同県小松市)も北陸信越運輸局から配送許可を得て「Take OUT express(テイクアウトエクスプレス)」の名称でサービスを発表。1万円以下の商品を対象に飲食店から受け付けた料理を専用ボックスに入れて届ける。運賃は1・5キロメートルまでが700円、2キロメートルまでが800円などと設定している。
タクシー業界からは「政府の緊急事態宣言後、利用客が6分の1以下となった」(都内中堅タクシー会社)など窮状を訴える声が相次いでおり、運送許可申請はさらに広がる見込み。
「フード速タク」のサービス内容案内(岐阜交通東部のFacebook公式ページより引用)
(藤原秀行)