国交省が補正予算に費用計上、効果検証実験も
国土交通省は、新型コロナウイルス感染拡大策の一環として、トラックやバス、タクシーの乗務前後の点呼に通信機器などを活用し、運行管理者とドライバーが対面せずに必要な点呼を済ませることが可能な「IT点呼」の普及を促進する。
2020年度補正予算に「ICTを活用した自動車運行管理等の非接触化・リモート化」の費用として1億円を計上した。実際に機器を用いて、日常の業務で接触機会をどの程度減らせるかを実証する実験を行い、その効果を事業者に幅広くアピールしたい考え。
国交省は車庫から営業所までドライバーが移動する必要がなくなるため、人材不足や高齢化が深刻な運送業界の労働負荷軽減にもつなげられると期待。IT点呼を一層広めるため、機器導入への補助をより手厚くすることも視野に入れている。
乗務前後の点呼は貨物自動車運送事業法などで義務付けられており、やむを得ない事情がある場合を除いて対面で実施すると定められている。ただ、現状でもトラック運送についてはGマーク(安全性優良事業所)を取得していることなど、バスやタクシーも重大事故を一定期間起こしていないことなどの条件を満たせばIT点呼が可能。
中小企業にとっても導入に向けたハードルをさらに下げることで、トラックやバス、タクシーのIT点呼利用を後押しし、運送業務を継続できるようにする狙いがある。
(藤原秀行)