【独自取材、動画】焼け落ちた外壁、庫内も無惨な姿に変わり果て

【独自取材、動画】焼け落ちた外壁、庫内も無惨な姿に変わり果て

宮城・岩沼の物流施設火災現場報告

※取材に際しては常時マスク着用、人との接近を極力回避、事前の手指消毒など、新型コロナウイルスの感染拡大防止に最大限留意して進めました

宮城県岩沼市の物流施設「プロロジスパーク岩沼1」の火災は5月6日の夕刻に、発生から6日ぶりにようやく鎮火した。ロジビズ・オンラインは消火活動が終わった後の5月9日午後、現地を訪れた。

同施設は東日本大震災で津波の被害に遭いながらも復旧を果たし、北海道・東北エリア向けの物流を支える重要な拠点として運営されてきたが、今回の火災で全焼となり、原形とはかけ離れた無残な姿に変わり果ててしまった。人的被害がなく、周辺への延焼も起きなかったのがまさに不幸中の幸いだった。倉庫火災の恐ろしさと、平時から対策を講じておく重要性をまざまざと見せつけられた。


火災前(プロロジスウェブサイトより引用)と鎮火後の「プロロジスパーク岩沼1」※写真は以下、いずれもクリックで拡大

これまでにも説明した通り、プロロジスパーク岩沼1は2008年10月に完成。オフィス部分も含めた延べ床面積は約4万4000平方メートルで、日本アクセスとF-LINE、プラスの社内カンパニーでオフィス用品や保育用品などの通販を手掛けるジョインテックスの3社が物流拠点として活用していた。

建物は仙台空港の南側にある「岩沼臨空工業団地」のちょうど南東部の角に位置している。川を挟んだ工業団地の反対側には田んぼが広がるなど、のどかな光景の中で、真っ黒に焦げてひしゃげた外観は遠くからも目立ち、周囲に異様な雰囲気を醸し出していた。脇の道路を通る車やトラックがたびたび施設横に止まり、ドライバーたちが驚いた様子で写真を撮影していた。

プロロジスパーク岩沼1の入り口付近にあった構内説明図によると、物流施設の東側に日本アクセス、西側にF-LINEとジョインテックスがそれぞれ入居し、入出荷作業などを日々展開していたようだ。


「岩沼臨空工業団地」の入り口


周辺の田んぼの中で施設の姿が際立つ


建物の北側。オフィス部分も外壁が外れて中が丸見えの状態になっていた

鎮火して2日以上経過したにもかかわらず、敷地に近づくと焦げたにおいが鼻を突く。消火活動のために壁などが一部で取り壊されたこともあり、あちこちで庫内の様子がうかがえたが、真っ黒になった内壁や変形したマテハン機器などの様子から、庫内で保管されていた在庫はほぼ絶望的な状況になっていると推察された。

建物周辺を1回りしてみたが、焼損を免れたのは一部のオフィススペースくらいしか見当たらなかった。物流拠点として再建するにはもはや一から建て替えるしかないと思われ、現地では既に取り壊しに向けた準備作業も始まっているようだ。


建物の西側。あちこちでひしゃげている


建物の南側。こちらも庫内がほぼ丸見えで、クレーンによる内部の確認作業も行われていた


焼け落ちたロゴマークが火の勢いのものすごさを物語っていた

現場ではクレーン車に乗った消防関係者が上層階の様子を観察するなど、地元消防や警察による検証作業が続けられていた。現時点では出火原因は明らかになっていないが、地元メディアの報道などによると、2階の冷蔵室から煙が上がっているのが目撃されているという。

倉庫はかねて開口部が少ないことや、庫内に可燃物の在庫を多く抱えることなどから、火災が大規模になりやすい危険性が指摘されている。プロロジスパーク岩沼1がそのことをあらためて教訓として伝えてくれているように感じた。今後明らかになる火災原因を踏まえ、物流業界関係者は防火の必要性を再度認識する必要がありそうだ。

(藤原秀行)

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