売上高1000億円の大台超えか
SBSホールディングス(HD)が5月26日、東芝の物流子会社、東芝ロジスティクスの買収を発表したことで、SBSHDグループの3PL事業の売上高は1000億円の大台を超える可能性が大きくなっている。現状では同事業を手掛ける国内有力物流企業の中でもトップ10入りが射程圏内に入ってきた。
新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で物流の事業環境が厳しくなっている中、同社が企業の物流効率化需要を引き続き獲得できるかどうかが注目されている。
SBSHDは今年10月1日付で東芝ロジ株式の66・6%を約200億円で取得、子会社化する方針だ。大型の精密機器などの輸送に強みを持ち、欧米やアジアの9カ国に14の現地法人を展開し国際物流も手掛ける東芝ロジを傘下に収め、SBSHDは中核の3PL事業強化や複数の物流事業者を統括する「4PL」事業のノウハウ取得、海外物流基盤の拡充につなげたい考えだ。
東芝ロジは2019年3月期の単独売上高が893億円、営業利益は17億3500万円だった。SBSHDは20年12月期に連結売上高2650億円、営業利益112億円を予想しており、決算期は異なるが単純合算すると連結売上高が3500億円規模まで伸びる。SBSHDが当面の目標としていた3000億円を上回り、陸運・倉庫業界でトップ10入りを果たしそうな勢いだ。
3PL事業に関しても、当社「月刊ロジスティクス・ビジネス」の19年度調査によると、主要企業の3PL売上高のうち、SBSHDは18年度(18年12月期)に889億円を上げており、19年度(19年12月期)は1000億円前後に到達しているとみられる。東芝ロジの買収でさらに金額が上積みされる公算が大きい。
19年度調査時点では、SBSHDの3PL事業規模は18年度の売上高ベースで日立物流やセンコーグループホールディングス、郵船ロジスティクス、日本通運などに続いて業界12位だった。東芝ロジの3PL売上高は開示されていないが、1000億円を超えれば10位以内にランクインすることも見えてくる。
SBSHDはメーカーの物流子会社などのM&Aを重ねて規模を拡大。18年にはリコー傘下のリコーロジスティクスを子会社化し、電子部品や精密機器などの物流業務受託拡大に精力を注いでいる。買収する東芝ロジとも連携を深めていくもようだ。
2018年度の3PL売上高ランキング(月刊ロジスティクス・ビジネス19年9月号掲載の調査結果より引用・一部企業は同誌推定値に基づく)
1 日立物流
2 センコーグループホールディングス
3 郵船ロジスティクス
4 日本通運
5 近鉄エクスプレス
6 日本アクセス
7 ヤマトホールディングス
8 キユーソー流通システム
9 SGホールディング
10 C&Fロジホールディングス
11 山九
12 SBSホールディングス
(藤原秀行)