「KPMGグローバル調査2018」で浮き彫りに
KPMGコンサルティングは10月11日、グループがグローバル規模で実施した、主要企業CEO意識調査の2018年版結果に関するメディア向け説明会を東京都内で開いた。
調査結果からは日本企業のCEOがサイバー攻撃を重大なリスクと認識しているものの、実際の対策はグローバルの平均より遅れていることが浮き彫りとなった。
調査は今年1~2月、日本を含む主要11カ国のCEO1300人を対象に実施。日本からは100人が参加した。対象企業は自動車や銀行、消費財・小売り、エネルギーなど多岐にわたっている。
18年の調査結果によると、「自社がサイバー攻撃を受けるのは不可避」と答えた割合は日本が46%で、米国(68%)やオーストラリア(62%)とは差が目立ったものの、フランス(47%)やドイツ(同)などと同水準。英国(39%)、インド(34%)、中国(32%)などは上回った。
同社は「サイバー攻撃の脅威の高まりについて日本のCEOも重大なリスクと認識している」との見方を示した。
同時に、自社でのサイバー攻撃への対策については「全体的な備えができている」は日本が33%なのに対し、グローバル全体は51%。「検知する能力が十分備わっている」も35%(グローバル全体が60%)、「ステークホルダーとの危機管理コミュニケーション能力が十分備わっている」は56%(同73%)など、総じて対照的な結果になった。
デジタル化受け「抜本的な変革率いる準備ができている」は5割に届かず
経済界で進むデジタル化の動きについても、もたらされる技術的破壊について「脅威ではなくチャンス」と受け止めているCEOが日本は91%で、グローバル全体の95%とそん色はなかった。
しかし、デジタル化を踏まえ「自社の経営モデルの抜本的な変革を率いていく準備が個人的にできている」と答えた比率は日本が47%で、米国の91%やフランスの73%、ドイツの69%、中国の58%など主要国を軒並み下回った。「顧客データの保護は自らの重要な責務」と考えているCEOも、日本は42%で、米国やオーストラリア、フランス、中国などとのかい離が生じていた。
説明会で同社の宮原正弘社長兼CEOは調査結果を踏まえ、日本のCEOに関し「経済界で進む、いわゆる“デジタル変革”に対しては前向きな意識が見られるが、サイバー攻撃も含め、対応やプロセスはまだまだグローバルの動向に比べてビハインドの状況にある」と指摘。
企業の成長を加速するため、CEOのリーダーシップ発揮や人材獲得、不確実性を前提とした長期のビジョンと戦略策定などを提案した。
(藤原秀行)
調査結果を説明する宮原氏