SGHDの大型施設「Xフロンティア」を臨時のセンターに活用、地方での展開にも意欲
経済産業省とセブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社、流通経済研究所は8月3日、深刻なトラックドライバー不足を受けて配送業務効率化の方策を図るため、東京都内で同1日から実施している店舗への商品共同配送に関する実証実験のデモンストレーションをメディアに公開した。普段は激しくしのぎを削っている3社の商品を1つのトラックで運ぶという国内初の光景を再現。実験対象の3社店舗に商品を搬入するデモンストレーションも行った。
実験は内閣府が関係省庁や民間企業などと連携して展開している「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環。東京・江東区新砂でSGホールディングス(HD)グループが運営している大型物流施設「Xフロンティア」の一角を臨時の共同物流センターとして活用している。
通常は3社が自社手配のトラックで配達しているが、実験は8月7日までの間、千葉県市川市で3社がそれぞれ構えている物流拠点から商品を横持ちして共同物流センターに運び込んだ後、3社の店舗が湾岸エリアで近接する地域ごとに同じトラックで1日1回、納品している。
「Xフロンティア」(SGホールディングス提供)※以下、クリックで拡大
経産省や流通経済研究所などによれば、実証実験は当初、東京オリンピック・パラリンピック開催時の都心部の混雑緩和を視野に入れていた。開催は延期となったが、実験自体はトラックドライバー不足対応としての配送効率化や配送時の温室効果ガス排出量削減につなげるため、実施に踏み切った。
関係者は実験でトラックの台数を3割程度減らせると見込んでおり、実用化を目指して効果を見極めるとともに、費用の分担などの課題解決策を検討したい考え。
実験公開に際してXフロンティア内でメディアの取材に応じたセブン―イレブンの青山誠一執行役員(QC・物流管理本部長 グループQCプロジェクトリーダー)は「今回のような都心部に加え、年内をめどに地方エリアでも実験を行いたい」と実験拡大に意欲を見せた。
コンビニ店舗への納品のデモ(セブン-イレブン新木場1丁目東店)
ローソンの川島宏史ロジスティクス部長は「共同配送で遠隔地も出店の選択肢が広がり、買い物難民の問題解決にも貢献できる可能性がある」と指摘。ファミリーマートの岡徹SCM・品質管理本部長は「地方でも実証実験との問題意識はわれわれも共有している。ぜひ協力して取り組みたい」と強調。3社はそろって加盟店オーナーや食品卸会社などの関係者の理解を得ながら着実に共同配送の構想を進展させていく姿勢を示した。
対象の店舗は3社で東京・江東区内の計40カ所に上り、各社の飲料や菓子、日用雑貨などの常温配送商品を混載。同一エリア内で最も効率的な経路を通り、店舗に届けている。一部の商品は共同在庫の可能性を探るため、あらかじめ共同物流センター内に在庫を取り置き、店舗別に仕分けている。
(藤原秀行)