凍結時間3分の2に短縮し消費電力4割減見込む
パルシステム生活協同組合連合会(東京・大久保)と包装資材などを手掛けるタニックス(東京・亀戸)、シャープは8月3日、青果専用の「適温蓄冷材」を用いて鮮度を維持する新たな配送システムを開発したと発表した。パルシステムの会員向け青果配送に導入している。
蓄冷材はシャープが液晶材料の研究で培ってきた技術を基に、青果の配送に適した12度を生み出す特質を持たせている。従来の蓄冷材は0度だったため、直接触れると青果が凍結や変色などで傷んでしまうことがあった。パルシステムは新たな蓄冷材の採用に加えて保冷容器のシッパー(発泡スチロール)をより断熱性の高いものに刷新し、蓄冷材と商品の間に緩衝材を入れなくても品質を損なわずに青果を配送できるようにした。
低温障害が起きやすい大葉なども配送の商品に組み入れられるようになった。さらに、蓄冷材を凍結させるのに必要な時間も以前の3分の2に短縮、消費電力も4割程度減らせると見込んでいる。
蓄冷材は今年2月にシャープが生産を開始、タニックスからパルシステムに納品している。パルシステムは保冷効果の向上で夜間に実施していた青果の仕分け作業を発送当日の午前中に行えるようになり、作業担当者の負荷軽減につながっていると説明している。
新たな配送システムはパルシステムのチルド食品向け物流拠点「熊谷センター」(埼玉県熊谷市)が今年5月に稼働を始めるのに併せて準備を進め、3月30日配達分から先行運用。7月20日配達分からは「相模センター」(神奈川県愛川町)で本格的な運用を開始した。今後は準備が整い次第、「岩槻センター」(さいたま市)での運用もスタートする計画。
新配送システムで届けられる産地直送青果(左)と「適温蓄冷材」(3者プレスリリースより引用)※クリックで拡大
(藤原秀行)