国交省、安全確保や旅客との混載禁止など条件
国土交通省は、タクシーが弁当などの飲食物を有償で運ぶことを認めている特例措置を10月1日から恒久的に制度化する方針を近く正式に発表する。制度の概要に関する国民からの意見聴取(パブリックコメント)を8月末まで実施した。その内容を踏まえ、全国の運輸局に通達を出して制度のスタートに向けた準備を本格化する。
特例措置は新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広がり、旅客輸送の需要が激減したことでタクシー事業者の経営が厳しくなったのを受け、国交省が今年4月にスタート。期限は現在、9月末までと設定しており、これまでに約1700社が特例の認可を得ている。
タクシー事業者の新たな収益源となるほか、利用者や飲食店などからも飲食物の宅配サービスを歓迎する声が出ているため、従来は過疎地域のみに認めていたタクシーの荷物輸送を、飲食物に限って全国で恒久的に認める方針を決めた。
8月に既報した通り、国交省は飲食物の配送に際し、トランクに入れられるだけの大きさであることや、旅客と飲食物を混載して同時に運ばないこと、運賃はタクシー事業者と飲食店が協議して決めることなどを条件とする方向。許可の期限は2年とし、所定の手続きを行えば延長も可能とする方針だ。
【新型ウイルス】タクシーの飲食物宅配、10月1日から恒久制度化へ
さらに、配送時の安全を確保するため、小規模の事業者には貨物自動車運送事業に適用される任意保険への加入を義務付けることなども検討している。
(藤原秀行)