日本通運、上期は災害で20億円営業減益も国内外需要堅調

日本通運、上期は災害で20億円営業減益も国内外需要堅調

増田取締役「人件費や外注費は依然高止まり」

 日本通運の増田貴取締役執行役員は10月31日、東京証券取引所内で開いた2018年9月中間決算の記者会見で、事業の現況を説明した。

 西日本豪雨や台風、北海道の地震など一連の災害で売上高は63億円、営業利益で20億円程度の直接的な影響を受けたものの、国内外ともに輸送需要が堅調なことに加え、石油販売単価の上昇も寄与し、増収増益を達成したと総括した。

 今後の経営環境については「世界経済は貿易摩擦問題や中国・アジア新興国経済の先行き不安など不透明な材料が数多く存在するが、全体として緩やかな拡大を継続している。国内経済も輸出や生産活動に加え、設備投資や個人消費の持ち直しもあり、緩やかに回復基調にある」と指摘。

 「物流業界も国内、国際の貨物ともに輸送需要が底堅く推移すると見込んでいる」と展望した。

 現状を踏まえ、通期(19年3月期)業績予想のうち、連結売上高は上方修正。しかし、利益面は「国内外で依然人件費や外注費などの高止まりが続いており、燃油費高騰や、国内の一部で災害の影響が残ることも予想され、ただちに増益には至らない」(増田取締役)として従来数値を据え置いた。

米中貿易摩擦で自動車などのSCMに変化の可能性

 増田取締役は、3PL分野に関し「お客さまの物流を代行するということに関してはかなり堅調に推移している。特に全部一括で請け負うとは限らないが、東名阪を中心に倉庫関連が、通販も含めて堅調」と解説。

 拠点整備については「どちらかというと新たなエリアに用地を購入して進出するより、現在の施設を統廃合などして刷新していく投資がメーンかなと思っている」と述べた。

 米中貿易摩擦が物流に及ぼす影響を問われ、増田取締役は「足元でかなり何か変わっているかというと、そこまでではない」と強調。その上で「今後は特にわれわれの主なお客さまの1つである日系自動車メーカー、部品メーカーのSCMが、例えば米国~メキシコ間などでかなり変わってくる可能性がある。そのへんを注視しながらやっていきたい。フレキシブルに対応し商機を逃さないようにしていく」と語った。

(藤原秀行)


決算会見に臨む増田取締役

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