NACCSと連携し通関情報のデータベース構築を支援
キヤノンITソリューションズは10月22日、貿易業務の迅速化・効率化を支援する管理システム「TradeWise(トレードワイズ)」を住友商事が採用したと発表した。
同システムは2019年にリリース。EDI(電子データ交換)ソフトを基にしてNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)と連携し、通関や貨物の受け渡しに関する各種情報を広範に蓄積したデータベースの構築や輸出入の貿易文書作成、担保残高の照会など6つの基本機能を備えている。
データベースを生かして過去の通関に関するやり取りを検索して確認したり、数量や価格といった主要な申告情報を二次活用したりすることなどが可能。ユーザーごとに必要な機能に絞って提供することで、紙ベースの書類でやり取りするよりも、複数の関係企業や拠点にわたる国際貿易の実態を的確につかみ、売り上げや利益の全体像を容易に把握できるようになるのが強みだ。価格は税別で500万円からと設定している。
このほど、TradeWiseの初のユーザーとして住友商事が導入した。同社が12年から活用してきたDDMS(輸出入許可通知データ管理システム)の保守契約終了と併せて、システムの刷新を決定。キヤノンITソリューションズは新旧システムの並行稼働をせずに一斉移行が前提といった住友商事の事情や要望を踏まえ、約7カ月という短納期でシステム移行を果たした。
住友商事は基本機能のうち、通関データベースの活用を決定。同社が要件の1つに提示していた、電子帳簿保存法に基づく関税関係帳簿の適正な保存にも対応している。NACCSから修正申告・更正通知データを自動的に住友商事側へ取り込めるようになったことなどから、旧来のシステムより業務の処理スピードが向上、効率化の成果を挙げているという。
住友商事の河野達也物流業務部長は「(システム刷新に際して)税関の説明において分かりやすい資料を作成いただき、実際の打ち合わせにも同行いただいた。プロジェクトの進行を見据えて、実行すべきタスクと達成までのスケジュール提案のみならず、弊社サイドの都合を考慮した上でのアイデア出しや丁寧な確認作業など、コミュニケーションを密に取ってくださった」などと対応を評価。
キヤノンITソリューションズは「商社や製造業、物流企業など輸出入に携わる方々に広くお使いいただきたい」とアピール。TradeWiseを含む貿易EDIソリューション事業で25年までに年間売上高5億円を目指している。
住友商事が採用したシステムの概要図(キヤノンITソリューションズ提供)※クリックで拡大
(藤原秀行)