新型コロナウイルス感染症への対応について

【独自取材】「コロナ禍でも物流施設開発のペースは減速せず」

【独自取材】「コロナ禍でも物流施設開発のペースは減速せず」

日本GLP・帖佐社長独占インタビュー(前編)

日本GLPの帖佐義之社長はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

帖佐社長は、新型コロナウイルスの感染拡大が物流施設の開発に及ぼした影響について、新規計画凍結や賃貸借契約の解除などネガティブなものはこれまでになかったと説明。現状はEC事業者などの需要が強いと指摘した。

その上で、コロナ禍でも開発のペースを減速させる考えは全くないと明言。同社が近年注力している、大規模な物流施設を1つのエリアで複数建設するプロジェクト「ALFALINK(アルファリンク)」も物流企業や荷主企業の反応が非常に良いことを踏まえ、既に着手済みの神奈川県相模原市や千葉県流山市に続いて、都市部で推進していきたいとの考えをあらためて示した。

インタビュー内容を全3回に分けて紹介する。


帖佐社長(2020年2月、中島祐撮影)※クリックで拡大

成約面積は前年から2割弱拡大

――新型コロナウイルスの感染拡大は物流施設開発に影響を及ぼしていますか。
「1月中旬くらいからコロナが徐々に騒がれ始め、2月から業務がリモート体制に入り、3月は完全にオフィスをいったんシャットダウンして、緊急事態宣言で都市封鎖みたいなことになり、物流不動産マーケットがどうなるのかということが非常に心配されていて、われわれも気をもんでいました。これまでに経験のないスタイルで仕事を進めてきましたが、結果的には事業そのものにマイナスの影響は全くなかったと言えるのではないかと思います」

――具体的には?
「例えば、物流施設の需要が枯渇するとか、開発計画が凍結するとか、経済活動の停滞によって荷物量が減り、開発からの徹底が相次ぐんじゃないかとか、賃貸借契約の解除が出てくるんじゃないかとか、建築スケジュールへの悪影響とか、建設資材が届かないとか、いろいろなことが想定されました。まず需要面で言うと、どちらかというとプラスの影響はあったのかなかと思いますね。減ることはなかったという意味で影響はありませんでしたが、むしろコロナ禍で非常時の需要と言えるものもあったくらいです。おおむね、コロナ前からあった計画については、若干リモートワークになることによって、仕事のプロセス、進捗が少し遅れるということはありましたが、計画自体がなくなったり、シュリンクしたりすることはありませんでした」
「今年上期(1~6月)の契約面積は昨年の同時期に比べても2割弱ほど多い成約があったことも、マイナスの影響がなかったことの裏付けになるでしょう。減額賃料要請はゼロではありませんが、結果としてはお客さまにご理解いただき、減額することもなく、通常の契約改定に合わせての計画通りの賃料上昇も実現できています」
「施設開発に関しては、中国に(建材などの)工場が立地しているケースが結構あり、中国のロックダウンの間、工場も閉鎖させられていましたので、その間の製造は止まりましたが、幸い稼働が停止していた工場からの納品はだいぶ先のプロジェクトがほとんどでした。今年は開発に着手した案件がたくさんありましたが、その中でもまだ開発の入り口の段階だったものが多かったので、工場が数カ月後に再開した時に生産する部材などで十分間に合います。もちろん、まだ世の中が決して完全に正常な状態へ戻っていませんから、100%楽観しているわけではありません」

――2割増えたのはEC関係の需要が旺盛だったからでしょうか。
「それはあると思います。実際、今年上半期のデータではECの成約率が全体の3割を占めています。今当社の顧客に占めるEC事業者の方々の割合は2割ですから、今年はその1・5倍が成約しているというところから見ても、もちろんもともとの計画もあったでしょうが、プラスアルファで巣ごもり需要に関連した伸びも含まれていると思います」

――今年初めの段階では、年内に8棟着工するとの説明がありました。その後の進捗はいかがですか。
「だいたいトータルで事業規模が1800億円くらいなので、われわれの開発着手量という意味でも、例年はだいたい1000億から1500億円くらいありますから、今年はかなり多いですが、それも全てちゃんと予定通り動いています」

――ECが好調な一方で、アパレルなどはコロナ禍の影響で不振に陥っている企業も多く見られます。
「おっしゃる通り、お客さまの中には経営環境が厳しいところもありますが、今のところ解約という意味では当社の事業に影響は出ていません」

――今年はかなり波乱続きの年でしたが、御社のこれまでの物流施設開発事業を総括すると総じて順調ということでしょうか。
「そう思いますね。(今年8月にGLPとして設立を発表した物流施設を投資対象とする私募ファンド)『ジャパン・インカム・ファンド』がこのほどクローズしましたし、当社がスポンサーを務めているJリートのGLP投資法人も今年6月、海外募集による新投資口(企業の株式に相当)発行による資金調達を発表しましたが機関投資家などからは非常に好評でした。物流施設への投資マネーがこの局面でこれだけ集められているということを見ても、物流不動産事業の健全性、順調さを表している結果ではないかと感じています」

――需要が旺盛なのは御社に限らず、業界全体の傾向でしょうか。
「そう思います。決して当社だから、ということだけではなく、業界全体がそういう傾向にあると考えています」

――今後開発ペースを遅くすることはありませんか。
「そうした考えは全くありません。着工スケジュールは物件の取得時期にもよりますから、毎年手掛ける案件の数に関して変動はありますが、われわれの取り組む姿勢という意味では、来年も変わらず旺盛な投資意欲がありますし、取得意欲もありますから、継続して優良な事業適地は獲得していくつもりです」

引き合い好調で着工スケジュールを大幅に前倒し

――個別の案件を見ると、新たな大規模物流施設のブランドとして打ち出している「ALFALINK(アルファリンク)」の計画は進捗していますか。
「例えば(神奈川県相模原市の同一エリア内で計5棟を開発する)アルファリンクの相模原は7月に2棟目の工事を本格的に開始しましたが、これはもともと再来年着工する予定でした。需要が非常に活発なので、着工スケジュールを大幅に見直して設計図も全て書き直し、急遽今年着工することになりました。そういった事例に示されるように、やはり大型プロジェクトはいろいろ、作り込みとかコンセプトといったところに対して共感される方々が多いので、通常の物件の需要にもまして旺盛な引き合いを感じています」

――全体的に相模原はスケジュールが前倒しになりそうですか。
「そうですね。3棟目に関しても、今の需要の状況から見れば、おそらくそうなりそうですね。あの場所であれだけの大型施設を開発するというコンセプトが、共感を得るだろうというのはもちろん、相当念入りに時間をかけて作り上げたコンセプトなのでそれなりの自信はあったんですが、実際に反響を見るにつれて、そこの引きの強さといいますか、お客さまの共感度の高さについては、われわれ自身も少しびっくりしているのが正直なところです」


神奈川・相模原のALFALINK2棟目となる「GLP ALFALINK 相模原Ⅳ」の完成イメージ。竣工は2021年10月を見込む(日本GLP提供・クリックで拡大)

(藤原秀行)

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