次期物流施策大綱、「DXと標準化」「労働力不足対策と構造改革」など重視を

次期物流施策大綱、「DXと標準化」「労働力不足対策と構造改革」など重視を

官民検討会で提言骨子案、非接触・非対面促進明示

国土交通、経済産業、農林水産の3省は11月16日、東京都内で「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」の会合を開き、2021年度から5年間にわたる次期総合物流施策大綱の内容に関する提言の骨子案を提示した。

骨子案は、人手不足など物流領域が抱える諸課題の解決へ「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)と標準化」「労働力不足対策と物流の構造改革」「物流ネットワークの構築」の3つの観点を重視して施策を推進する方向性を明示。

具体策として、サプライチェーン全体の最適化を見据えた業務のデジタル化推進、規制緩和や諸手続きの特例検討、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた「非接触・非対面型」の物流に資する自動化・機械化の促進などを打ち出した。

併せて、異業種間での共同輸配送や倉庫シェアリングの促進、外国人労働者のトラックドライバーへの活用に向けた議論推進、老朽化した物流施設の更新・高機能化による生産性向上なども盛り込んだ。

検討会はメンバーからの意見を踏まえ、12月4日に予定している次回の検討会会合で提言の原案を提示。12月22日の会合で最終取りまとめを目指す。3省などは提言内容を基に、20年度中に次期大綱を閣議決定したい考え。

「一気呵成にデジタル化や構造変化すべし」

骨子案は「今般の新型コロナ感染拡大等による劇的な社会環境の変化は、これまで進捗してこなかった物流のデジタル化や構造変化を加速度的に促進させる誘因となる可能性があることから、この期を逃さず、一気呵成に進める必要がある」と宣言。

「エッセンシャル(不可欠)との位置付けが再認識された物流の社会的価値を一層浸透させるとともに、国際目標のSDGs(国連の持続可能な開発目標)も踏まえながら、物流機能とともに地球環境の持続可能性を高める取り組みをさまざまな主体を巻き込みながらさらに推進していく必要がある」と指摘した。

今後の物流関連施策の方向性としては、「簡素で滑らかな物流」「担い手に優しい物流」「強くてしなやかな物流」を実現することを提案。それぞれの具体策として、前述のものに加え、ドローン(無人飛行機)の社会実装に向けた運航コスト低減などの対応、高度な知識を有した人材の育成・確保、内航海運の船員確保・育成、自家用有償輸送を輸送力として活用することの検討、自動配送ロボットや自動運転・隊列走行を見据えた道路整備、大規模災害時の物資輸送の在り方検討、農林水産物や食品の輸出促進に対応した物流基盤強化などを列挙している。

この日の会合では、参加したメンバーからトラックドライバー以上に高齢化・人手不足が深刻化している内航海運に関してもう少し記述すべきだとの指摘や、国際物流に関する記述が少ないとの意見、物流領域の抱える課題の深刻さに対する危機感がまだ不足しており、「誰が責任を取るのか」についても明確に記すべきだとの見解などが示された。

(藤原秀行)

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