検討会が提言案、DXや標準化など推進
国土交通、経済産業、農林水産の3省は12月4日、東京都内で「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」(座長・根本敏則敬愛大教授)の会合を開き、2021年度から5年間にわたる次期総合物流施策大綱の内容に関する提言案を提示した。
11月の前回会合で示した骨子案に盛り込んでいた、今後の物流関連施策の方向性を基本的に踏襲。具体的には物流DX(デジタルトランスフォーメーション)や標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化を図る「簡素で滑らかな物流」、労働力不足と物流構造改革を進める「担い手に優しい物流」、強靭で持続可能な物流ネットワークを構築する「強くてしなやかな物流」の3点を明示した。
具体策として、物流施設の自動化・機械化導入への支援強化、高速道路での後続車有人隊列走行システムの商業化、ドローン物流実現のための制度面での環境整備などを列挙。一度により多くの荷物を運べるダブル連結トラックの幹線物流での普及促進へSA・PAの専用駐車マス整備や駐車場予約システムの活用を図ることも記した。
他には共同輸配送に必要な積載情報などデータの共有、倉庫シェアリングの普及後押し、「置き配」や宅配ボックス設置促進による宅配荷物の再配達抑制などを並べている。
併せて、感染症の蔓延や大規模災害の発生でも機能する物流ネットワークを構築するため、AI(人工知能)を活用したコンテナターミナルの自動化と生産性向上、避難所の物資情報を共有できるシステムの活用、モーダルシフトの一層の推進などにも言及している。
この日の会合では、日本経団連が次期大綱への意見を表明。労働力不足対策や新技術活用などに関し、自動走行ロボットやドローンの活用に向けた制度設計、RFIDの活用拡大、貿易関係手続のオンライン・ワンストップ化などを示しており、大胆な規制改革や対策の抜本的な見直しなどを講じるよう訴えた。
検討会は12月22日の次回会合で提言の内容を最終的に取りまとめた上で公表。3省などは提言を基に、20年度中に次期大綱を閣議決定したい考え。
(藤原秀行)