【新型ウイルス】コロナ禍で物流企業の過半数が「非接触型や自動化などシステム見直し」必要と認識

【新型ウイルス】コロナ禍で物流企業の過半数が「非接触型や自動化などシステム見直し」必要と認識

物流連アンケート調査結果、テレワークやウェブ会議も注目度高く

日本物流団体連合会(物流連)は12月8日、会員の物流企業を対象に実施した「物流企業における新型コロナウイルス感染症への対応動向調査」の結果(速報版)を公表した。

回答企業の6割強が、グループ内や協力会社で新型コロナウイルスの感染者が出たと答えており、コロナ禍の影響が現場に及んでいる実態をうかがわせた。感染防止策としては全社がマスク着用と手洗い・アルコール消毒、ウェブ会議システムの導入・利用を選択した。

対策に至った経緯としては、既存のBCP(事業継続計画)や非常時の対応マニュアルなどでは対策が不足していたため追加で検討したり、そもそもBCPなどがなく新規で検討に踏み切ったりしたとの回答が大勢を占め、未曾有の事態に混乱しながら懸命に対応しようとする姿が浮かび上がった。

今後の物流への影響では、2020年度は特に国内の輸送部門で輸送量や取扱量、収益が減るとみている向きが7~8割に達した半面、3分の1は21年に前年から増加、ある程度は持ち直すと予想している。

今後の「ウィズコロナ」「アフターコロナ」の環境下で必要な対応を尋ねた結果、「非接触型、省人化、自動化など物流システムの見直し」と「事務系従業員の出勤体制やテレワークの見直し」が5割を上回っており、業務の自動化・効率化の機運が高まっていることを示した。

調査は9~10月にアンケートを実施。81社に協力を要請し、このうち35・8%に相当する29社が回答した。調査結果の詳報は21年の年明けをめどに取りまとめる予定。

「荷主への取引条件見直し要求」が必要の声も

アンケート結果によると、「社内(グループ企業を含む)で感染者が生じた」のが55・2%(16社)、「協力会社で発生した」が10・3%(3社)で、「発生していない」は31・0%(9社)だった。

指示を出した対策を聞いたところ、現場系業務では「マスク着用の指導、徹底」と「手洗いやアルコール消毒の指導、徹底」が100%、「検温の導入・徹底」が96・6%、「つい立てやビニールシートなどによる飛沫対策」が89・7%などとなった。

事務系業務では「ウェブ会議システムの導入、利用」「マスク着用の指導、徹底」「手洗いやアルコール消毒の指導、徹底」が全て100%に上り、「出張の制限」(96・6%)、「テレワーク、在宅勤務の導入・実施」「対面会議の制限」(ともに93・1%)などの割合も高かった。

こうした対策の指示を出した経緯は、一部を除き、各対策で「既存のBCP(事業継続計画)や非常時の対応マニュアルなどでは対策が不足していたため、追加で検討した」が4~6割、「BCPや非常時の対応マニュアルなどはなかったため新規で検討した」が3~5割となり、コロナ禍は各企業が想定していない事態だったことを裏付けた。


指示を出した経緯(以下、いずれも物流連資料より引用・クリックで拡大)

今後の物流への影響としては、BtoBの国内輸送部門で、20年度は輸送量・取扱量が前年度より「大幅に減少する」と「減少」の合計で80・8%、収入と利益がともに73・1%に上った。半面、21年度は輸送量・取扱量、収入、利益のいずれも34・6%が「増加する」との見方を示しており、コロナ禍の打撃を受けた20年度からは持ち直していくとの予想が根強いことを浮かび上がらせた。

「ウィズコロナ」「アフターコロナ」下の物流企業経営に必要な対応(複数回答可)としては、「非接触型、省人化、自動化など物流システムの見直し」と「事務系従業員の出勤体制やテレワークの見直し」が55・2%で最も多く、「運賃・料金水準の見直し」が34・5%、「荷主企業に対する取引条件見直しの要求」と「サプライチェーン全体での商慣習の見直し」が31・0%などとなった。


「ウィズコロナ」「アフターコロナ」下の物流企業経営に必要な対応

(藤原秀行)

調査内容の詳細はコチラから(物流連ウェブサイト)

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