災害時の管理方法作成を事前に義務付け、道の駅を防災拠点に利用も
政府は1月29日の閣議で、道路と鉄道の防災機能強化を図ることなどを柱とする踏切道改良促進法と道路法、道路整備特別措置法、高速自動車国道法、鉄道事業法の計5法の改正案を閣議決定した。
2018年の大阪北部地震の際、列車が駅の間で緊急停止し多くの踏切が長時間遮断、救急車や消防車の通行ができず救急救命活動に支障が出たことなどを重視。国土交通大臣が指定した踏切は災害時に踏切の遮断機を上げる手順といった管理方法をあらかじめ定めておくよう鉄道会社や道路を管理する自治体に義務付ける。
義務付ける踏切道は、緊急輸送道路など重要な道路に存在しているものが対象となる見込み。併せて、鉄道会社が踏切監視用カメラを整備する際に補助する。
道路の防災機能強化に向け、国交大臣が道の駅などを「防災拠点自動車駐車場」に指定する制度を新設。災害の際は自衛隊や自治体などが防災拠点として使う場合を除いて利用を禁止・制限できるようにし、救助・災害復旧活動を円滑に進められるよう配慮する。
他にも、道路管理者の自治体などが指定した緊急輸送道路の沿道区域で民間事業者らが工作物を設ける際に届け出を義務化、地震や強風で電柱などが倒れて道をふさぎ緊急車両が通れなくなる事態が起きないようチェックできるようにする。
都道府県が市町村の管理している道路で最低限の修復を行い救援物資などの輸送可能なルートを整備する「啓開」や災害復旧の作業を代行できる制度も設ける。
鉄道の防災機能強化では、鉄道会社が国交大臣の許可を得て、鉄道施設に障害を及ぼす可能性がある植物を伐採したり、災害復旧のために他人の土地を一時的使えるようにしたりする。
このほか、踏切事故が依然後を絶たず、「開かずの踏切」も全国で残っているため、改良すべき踏切を国交大臣がより機動的に指定できることなども打ち出している。
(藤原秀行)