アジアなど海外展開加速に注力
大和ハウス工業は11月12日、都内の東京本社で2018年9月中間決算の説明会をメディア向けとアナリスト向けにそれぞれ開催した。
双方に出席した芳井敬一社長は物流施設開発が好調を維持していると強調。19年度(20年3月期)にスタートする次期中期経営計画でも成長の核を占めると説明するとともに、海外展開も着実に加速していく姿勢を鮮明に示した。
芳井社長は9月中間期に関し、増収が9期連続、増益は10期連続になると解説。成長戦略の3本柱と位置付けている物流施設などの事業施設、商業施設、賃貸住宅がいずれも順調に需要を獲得し、減収減益の戸建て住宅やマンションをカバーしたことを背景に挙げ、「次期中計でも(物流施設などの位置付けは)変わらない」と明言した。
首都圏を中心に大量供給が続く現状に対し「当社は競合する不動産デベロッパー、ゼネコンなどのプレーヤーよりも安く仕上げていくので競争力は十分ある。用地の取得なども含めて競争は激化していくが、建設コストをある程度原価で見ることができるのが他社にはない強み。その点を生かしてしっかり勝負していこうと思っている」と自信を見せた。
現在アジアの4カ国で進めている物流施設事業については、インドネシアの開発案件が1棟目はすぐ満床になるなど、全体的に先進的な施設への需要が強いと指摘。「次期中計では当然ながら海外が大きな戦力、ビジネスになっていく」と語り、引き続きアジアなどで事業規模拡大に注力する姿勢をあらためて鮮明に示した。
KYB免震ダンパーの不適合有無「判明時期は未確定」
油圧機器大手のKYBや鋳造部品大手の川金ホールディングス子会社が物流施設にも使われている免震・制振用オイルダンパーの性能データを改ざんしていた問題については、大和ハウスが開発した複数の物流施設でもKYB製の免震オイルダンパーを採用していることが分かったと説明。「相手のあることなのでしっかり対応していくということに尽きる」と語った。
問題の影響でオイルダンパーが不足するとの懸念が不動産業界などで生じていることについては「代替案を考えている」と述べ、不足時にKYBや川金HD以外のメーカーから調達することなどを検討していることを示唆した。
KYBとの今後の関係を問われたのに対し「取引を見直したりやめたりすることは全く考えていない。まずは(国の基準などへの)不適合物件が出たら直すのが先決であり、そこがスタートラインだと思っている」と話した。
説明会に同席した香曽我部武専務執行役員CFO(最高財務責任者)「(国の基準などに)適合しているのか不適合なのかを(KYBなどが)調べている段階で完全に待ちの状況。こんな事態なのでいつごろ(不適合の有無が)判明するかもまだ確定していない」と困惑の表情を見せた。
(鳥羽俊一、藤原秀行)
物流施設事業の展望などを語る芳井社長