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【独自取材】「物流テック」で日本を変革する⑦リンクス

【独自取材】「物流テック」で日本を変革する⑦リンクス

AGVや自動フォーク普及へ橋渡し役務める技術商社・村上慶代表取締役

人手不足などさまざまな課題を抱える物流業界を先端技術で変革していこうと奮闘する企業を紹介するロジビズ・オンライン独自企画の第7回は、技術商社のリンクスにスポットを当てる。

画像処理や制御システムなど最先端の技術を生かした製品を世界でいち早く見つけ出し、日本の企業に紹介、提供していくことを社是としている。製造業に加え、近年は物流業界に照準を合わせ、ロボット制御の技術などを広めようと奔走する同社は物流業界にとってAGVや自動フォークリフト普及への強力な橋渡し役となりそうだ。


村上慶代表取締役(2020年8月撮影)

「いまだ古い磁気テープ方式が主流」を変える

リンクスは1990年設立。「最先端テクノロジーと上質なサービスで社会生活の向上に貢献」との経営理念を掲げ、優れた製品の提供と高いレベルの技術コンサルティングの両輪で日本企業を支援している。

同社は台湾やシンガポール、タイ、マレーシアに現地法人を構えるとともに、ドイツやスイス、カナダなどを拠点とするメーカー13社と日本国内の総代理店契約を締結。世界中にアンテナを張り巡らし、画像処理や3次元センサー、ロボットシステムなどの技術動向に着目している。他にも、仕入先のメーカーと連携してユーザーの要望を織り込んだカスタム開発も積極的に行っている。

ロボット分野に関し、リンクスが注目しているのが、フィンランドのNavitec(ナビテック)の製品だ。同社は2013年にAGV市場へ参入。現在は主力製品の1つとして、自律走行型AGV(無人搬送ロボット)のナビゲーションソフトウエア「Navitrol(ナビトロール)」、さまざまなAGVを一元管理できるソフトウエア「Navithor(ナビサー)」を展開している。

リンクスは19年にナビテックと総代理店契約を結び、20年3月にソフトウエアの提供を日本で初めてスタートした。リンクスの村上慶代表取締役は「日本で間違いなく必要とされる技術だと確信した」と背景を語る。

ナビテックのソフトウエアの基礎となっているのが、AGVが周辺の環境を把握し、自己位置を推定しながら走行するNFN(Natural Future Navigation)と呼ばれる技術だ。AGVに搭載した高性能レーダーのLiDARやカメラなどで周囲に人や障害物がないかなどを確認、2次元の地図を生成するのと並行して地図上で自分がどこにいるかを推定する仕組みだ。

ナビトロールはNFNによる誘導を最大限生かし、AGVの停止位置の誤差が想定よりプラスマイナス1センチメートルという極めて高精度の自律走行を可能にしている。導入時に既存の工場や倉庫内のレイアウトを大幅に変える必要はなく、導入後にオペレーションの実態に応じて走行ルートを大幅に変更することも容易だ。

磁気テープやQRコード、反射板などを現場に設置しなくてもAGVを運用できる点が評価され、海外の自動車工場や倉庫などで採用が増えている。例えば、ドイツのアウディの製造工場ではナビテック製AGVが車体を運搬、工場内の自動化に貢献している。さらに、ナビサーも併用することでAGV導入の期間短縮などのメリットが期待できるという。

村上氏は、AGVやAGF(無人搬送フォークリフト)は海外ではQRコードや反射板、NFNなどの技術が用いられていることが多いのに対し、日本ではいまだにそうした技術より古い、磁気テープを床に貼って誘導するタイプが大勢を占めており、製造や物流の現場で新しい技術の活用が遅れていると指摘。「それゆえに先進技術活用の伸びしろが大きく、今後は導入が進むと期待している」と語る。

リンクスではナビトロールとナビサーの両製品を自動車メーカーなどの製造現場、物流倉庫へ積極的に提案、27年に10億円規模の売り上げまで高めることを目標としている。


ナビテックのソフトウエアを活用したAGVのデモンストレーションでは、QRコードなどを使わず、想定した位置にぴったりと止まった(20年7月公開)

「海外の物流自動化はゴールドラッシュ」

村上氏は「海外では物流の自動化はまさにゴールドラッシュを迎えている。日本も物流倉庫の数に対して人手が圧倒的に足りなくなり、自動化が必須となる時代が来る。その時に備えて今からAGVの普及を後押ししていくことが急務だ」と使命感を語る。

リンクスがナビトロールやナビサーを日本で広めようと考える背景には、物流倉庫の人手不足対応に加え、日系のAGVメーカーにもより奮起してほしいとの願いがあるという。「QRコードや反射板を使った“第二世代・第三世代”のAGVは中国などのメーカーが攻勢に出ている。日本のAGVサプライヤーには、ぜひナビテックの技術も有効に活用し競争力を高めていただきたい。いろんな業界で日本発のAGVが採用されるようになれば非常に素晴らしい」と村上社長は訴える。

リンクスではAGVと同じく、AGFも市場が今後大きく成長していくとみる。既に海外メーカーが積極的に開発を進めている中、村上氏は「AGFは今後、全てのメーカーがNFNを採用すると予測している。日本はフォークリフトのオペレーターが非常に優秀なため、現在はAGFより生産性が高く、AGF導入の機運が高くない。しかし、いずれ必ず人手不足になるだけに、当社としてもサプライヤーの皆様と関係を緊密にして、今から準備していきたい」と先を見据えている。

高い技術に日々接しているだけに、リンクス自身が先進的なAGVやAGFの開発に乗り出す考えはないのだろうか。その問いに対し、村上氏は「もっと世の中にAGVを浸透させていきたい。その目的のためには、ニュートラルなポジションをキープすることが重要。商社としての立ち位置は崩さずにやっていきたい」と明確に今後の方向性を回答した。悩める物流業界にとっては、人手不足を救う優れた技術やソリューションを提案する強力な援護射撃が期待されている。

(藤原秀行)

参考記事(連載) リンクス ロボティクス事業部の小山早俊プロダクトマネージャー執筆です!:
【新連載】「目指せ!ガイドレスAGV・AGF導入への道」

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