IATA予測、各国政府に財政面での救済を訴え
国際航空運送協会(IATA)は2月25日、2021年の世界の航空業界の動向予測を公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大で旅客需要が大幅に減少しているため、主要航空会社のキャッシュバーン(現金流出)は2021年で最大750億~950億ドル(約7兆8800億~9兆9800億円)に上るとの厳しい見通しを示した。
昨年11月時点の旧来予測ではコロナワクチンの接種拡大で需要が回復、21年第4四半期(10~12月)に現金収支が黒字に転じるとのシナリオを描き、キャッシュバーンは21年通年で480億ドル(約5兆円)と見積もっていたが、需要の戻りが遅れている現状を踏まえ、見通しを下方修正した。
例年繁忙期となる今年7~8月の航空便利用予約数は現状でコロナ感染拡大前の19年から78%減っているという。
IATAは21年の「楽観的なシナリオ」として、先進国でワクチン接種が進み旅行の制限が徐々に解除された場合、21年の需要は19年の38%にとどまり、キャッシュバーンは年間750億ドルに達するものの、第4四半期のキャッシュバーンはこれまで予想していた330億ドル(約3兆5000億円)から70億ドル(約7400億円)に縮小することを想定。
一方、「悲観的なシナリオ」は旅行制限が維持された場合、21年の需要は19年の33%にすぎず、キャッシュバーンは950億ドルに膨れ上がると試算。第4四半期のキャッシュバーンも160億ドル(約1兆7000億円)に上るとみている。
IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長は「各国政府が国境を開くことができない場合、航空会社が存続するために国庫を開き財政面での救済を行う必要がある」と迅速な対応を訴えた。
(藤原秀行)