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【独自取材】オークファングループが日本の余剰在庫を救う(前編)

【独自取材】オークファングループが日本の余剰在庫を救う(前編)

食品や飲料など再販売支援サイトが好評

 日本では年間22兆円にも上る余剰在庫が捨てられている――。東証マザーズ上場でインターネット関連の各種サービスを手掛けるオークファンが、衝撃的な試算を明かす。

 実際、多くの企業が余分に生産した商品や返品の扱いに日々頭を悩ませている。同社グループはそんな厳しい状況を打開しようと、メーカーや卸、インターネット通販事業者らの抱える余剰在庫を再び市場に流通させる「流動化支援」に商機を見いだし、事業を拡大している。

 サプライチェーンの全体最適とは程遠い現状を変えられるのか、同社グループの取り組みを2回にわたり報告する。

数年以内に会員100万人目指す

 オークファングループが展開するサービスで今、大きく関係者の注目を集めているのが、同社傘下のSynaBiz(シナビズ)が2017年7月にスタートしたサイト「Otameshi(オタメシ)」だ。


多様な商品が並ぶオタメシのサイト

 売れ残ったり、賞味期限が近づいて店頭から撤去されてしまったりした食品や飲料、日用品などを同社が買い取り、品質には全く問題がないものをサイトで割安に販売している。

 企業にとっては在庫が減りキャッシュフローの改善につながる。市場価格より数割程度値下げしているため、ユーザーにとっても非常にお買い得だ。サイト運営開始から1年余りで会員が数万にまで拡大、順調に成長している。

 現在では50社前後と定常的に取引しており、増え続ける商品の受け入れ体制を拡充するため、最近倉庫を新たに増やしたほどだ。サイト上でも賞味期限が切迫したものだけを集めたコーナーをオタメシ上に設けたり、LINEと連携してクーポンを提供したりと、さまざまな販売促進活動を行っている。

 シナビズの藤井厚執行役員は「われわれの想定以上に好評を博している。商品のブランド価値を落とさずに再流通させられる手法が企業の皆さんに受け入れていただけている」と胸を張る。会員を数年以内に100万人レベルまで増やすのが当面の目標だ。

「社会活動団体へ寄付」で商品ブランド毀損せず

 オタメシが取り扱っているのは日持ちする調味料やレトルト食品、缶詰、麺類、コーヒー、清涼飲料、菓子など多岐にわたる。さらに化粧水や香水、ハンドクリーム、リップクリーム、サプリメントといった美容・健康に関わる商品、日用雑貨、ペット用品も対象だ。商品の配送はシナビズが提携している佐川急便が担っている。

 単なる安売りサイトにしたのでは、商品のブランドを毀損しかねず、メーカーや卸も出品に二の足を踏みかねないだけに、オタメシは細心の注意を払っている。サイト全体のデザインを明るくして、ユーザーが「有償のサンプルを試す」といった感覚で気軽に利用、購入できるよう配慮。一度に大量購入・転売されない仕組みも取り入れている。

 さらに大きな特徴なのが、社会貢献の仕組みを取り入れている点だ。ユーザーが商品を購入する際、代金の数パーセントを動物保護や環境保護、新興国支援などに取り組んでいる社会活動団体の中から好きな相手を選んで寄付する。今年11月時点で支援対象は「国境なき医師団」「日本自然保護協会」など8団体に上る。

 各団体の活動内容をサイトで紹介しているほか、寄付されたお金は各団体にしっかり渡していることを示すために領収書をサイトにアップするなど、透明性と公平性の担保に努めている。シナビズが「社会貢献型ECサイト」と呼ぶ仕組みは、ユーザーとメーカー・卸の両方から共感を確実に集めている。

年間600万トン超の食品廃棄を変える

 藤井氏は「滞留している在庫だけを置く倉庫を借りている企業もあるほどだ。一応は資産なのでとりあえずそこに置いておけばいい、いつかは売れる、と思っているのかもしれないが、倉庫の賃料など掛かっている費用を考えればとんでもない無駄。廃棄すれば環境にも良くない。もはや“物を出せば売れる時代”ではないだけに、売れない商品をいかに適切に扱うかというニーズは今後も確実に見込まれる」と強調する。

 再流通支援のターゲットを食品に広げた根底には、加工食品の納品期限を定めた「3分の1ルール」という日本独特の商習慣に基づき、賞味期限まで余裕があるにも関わらず食品が店頭から姿を消している現状を変えたいとの思いがあった。

 環境省などの推計では、まだ食べられるのに廃棄されている食品は日本だけで年間600万トンを超すという。国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」は30年までに小売り・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料廃棄量を半減させるよう求めており、サプライチェーン上で滞留する食品を有効活用して廃棄を減らすことは今後ますます社会的にも強く求められると見込まれる。

 藤井氏は「パッケージを変更するのに伴い、変更前の商品が品質には問題ないのに結構な量捨てられたりもしている。そんな現状を変えることで、企業と消費者の双方にメリットを感じていただけるようにしたい。われわれも商機を確実に生かし、より成長していきたい」と力を込めている。

 同氏は課題としてオタメシの知名度向上を挙げており、今後は企業が展開している会員制サービス向けに、割安で商品を販売することも検討しているという。シナビズにとってはオタメシ会員を増やせるのと同時に、相手先企業としても会員の満足度向上が期待できる。「社会貢献もできる在庫解消」の手法は、ますます重要性が高まりそうだ。

(藤原秀行)

【独自取材】オークファングループが日本の余剰在庫を救う(後編)

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