設備利用量に応じた課金など新たな利用形態模索
三井不動産の三木孝行常務執行役員(ロジスティクス本部長)は3月4日、物流施設開発に関する方針の説明会で、新たな取り組みとして今年6月に千葉県船橋市で竣工する予定の「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅲ」内に自動化機器を取り入れた先進的オートメーション倉庫を設ける準備を進めていることを明らかにした。
三木氏(2019年撮影)
三木氏は、テナントニーズが多様化していることへの対応として、「MFLP船橋Ⅲ」の近隣で既に稼働している物流施設「MFLP船橋Ⅱ」の敷地内で運営している自動化・省人化機器のショールーム「MFLP ICT LABO 2.0」を活用しながら、先進的オートメーション倉庫を実現する意向を表明。庫内設備の利用量に応じた課金など新たな利用形態を模索していることにも言及した。
併せて、IC技術を活用し、庫内業務効率化に向けて広角レンズカメラによる庫内の商品配置把握と適正化、ビーコン端末を使った動線の把握と改善、顔認証によるセキュリティー強化、人感センサー付きLED照明の導入などを進めていくと解説。物流施設の従業員サービス向上のため、施設内のトイレやパウダールームの混雑状況可視化、クラウドシステムでのフィットネス設備やカフェテラスの予約管理などを提案していく考えも示した。
「MFLP船橋Ⅲ」の完成イメージ(三井不動産ウェブサイトより引用)
冷凍・冷蔵倉庫の建て替えにも関心
三木氏は賃貸物流施設市場に関し「新型コロナウイルス発生でEC市場が拡大し、需要が想像以上に相当伸びている」と指摘。その一環で、食品領域のEC市場拡大が見込まれるため、冷凍・冷凍倉庫の展開にも強い意欲をのぞかせた。
三木氏はこれまでにスーパーやコンビニ向けに冷蔵倉庫を2件開発していることに触れた上で「冷凍・冷蔵専用倉庫にもトライしていきたい」と明言。既存の老朽化した冷凍・冷蔵倉庫の建て替えに携わっていくことにも関心を見せ、「古い倉庫はおそらく業務効率が悪く、新しい技術が必要なのではないか。そういった技術をお持ちのところと一緒に組めないか勉強している。当社が入り込める余地もあるのではないか」と語った。
事業展開のための開発用地取得については「率直に申し上げて、土地代が高くなり過ぎていると感じているが、魅力的な土地が出てきているのも事実。工場跡地を有効活用したいという相談が当社にも結構寄せられている。非常に面積が大きく高速道路のインターチェンジにも近いので物流施設開発に条件が合致している」と話し、移転や統合などで空き地となった工場用地の取得に今後も期待を寄せた。
(藤原秀行)