国交・農水両省の意見交換会が取りまとめ、混載促進や検疫手続き簡便化も
国土交通、農林水産の両省は4月28日、政府が掲げている2030年に農林水産物・食品の輸出を5兆円まで伸ばすとの目標達成に向け、効率的な輸出の物流構築に関する検討結果を公表した。
両省と農業・物流関係者らで構成する意見交換会で議論を重ねた。
取り組むべき事項として、最適な輸送ルートの確立や物流拠点の整備、包装資材・保持技術の開発・実装などを列挙。具体策として、拠点となる地方の港湾・空港周辺へのコールドチェーン対応の施設・機器整備などを提言した。両省が今後、実現へ調整を進める見通し。
検討結果の概要は以下の通り。
1.最適な輸送ルートの確立
・地方の港湾・空港を積極的に活用し、輸出産地からの直行便や主要港への経由便などにより国内輸送にかかるコストを削減
・京浜・阪神への輸送についても、ストックポイントにおいて大容量コンテナに積み替える、東京23区や大阪市内など市街地の混雑を避ける工夫などによるコスト削減が必要
2.大ロット化・混載の促進のための拠点確立
・重点品目の輸出産地状況を踏まえ、拠点となる地方の港湾・空港に同一品目を集約し、大ロット化や温度などについて同じ取り扱いのできるものの混載を実施
3.輸出産地、物流事業者、行政などが参加するネットワークの構築
・拠点となる地方の港湾・空港への集約のため、地域または物流拠点単位でのネットワークを形成し、陸上輸送の時間短縮、大ロット化などによるコスト低減などの方向性を決定
4.物流拠点の整備
・拠点となる地方の港湾・空港周辺に、コールドチェーン対応の施設・機器を整備することで品質管理の向上や大ロット化などに貢献
5.鮮度保持・品質管理や物流効率化のための規格化、標準化
・品目輸出団体が中心となって統一規格・標準を策定し、活用する仕組みが必要
6.検疫などの行政手続上の環境整備
・行政手続の迅速化や各種手続のワンストップ化を進めるなど、港湾・空港やその周辺の物流拠点に必要な手続を簡便に行える環境整備を進める
7.包装資材・保持技術の開発・実装
・包装資材・保管技術の開発を進めることにより、輸送時の鮮度・品質を安価に維持
(藤原秀行)