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PwCコンサルティングがセミナーでドローンの積極活用提案(後編)

PwCコンサルティングがセミナーでドローンの積極活用提案(後編)

PwCコンサルティングがセミナーでドローンの積極活用提案(前編)

画期的ビジネス創出目指す企業の事例を多数紹介

 PwCコンサルティングは11月22日、東京都内の本社でセミナー「ドローンを利用した次世代のビジネス変革のすすめ ~規制緩和の実現による利活用と広がり~」を開催した。

 ドローン(小型無人機)を生かした画期的な新サービスの創出に取り組む企業の担当者が講演し、事業変革へさまざまな課題を乗り越えるとの強い決意を語った。前編に続き、セミナーの模様を詳報する。

20年度に「空の道」供用開始へ準備

 最初に、東京電力ホールディングス傘下で新規事業開発を手掛ける東京電力ベンチャーズから、事業開発部ドローンハイウェイチームのプロジェクトマネージャーを務める斎藤亮平氏が登壇。東電グループと地図大手のゼンリンが共同で打ち出した、全国の鉄塔や送電設備を生かしてドローンを安全に飛ばせる専用空路を構築する「ドローンハイウェイ構想」を紹介した。


ドローンハイウェイ構想を説明する斎藤氏

 同構想はドローンの自動離発着に用いるドローンポート開発などを併せて進め、2020年度からさまざまな企業などを対象にドローンハイウェイの供用を始めるとのシナリオを想定。両社は楽天ともドローン物流の検討を開始することで合意している。

 斎藤氏は「どこか決まった場所を飛ぶ方が安全管理も含めていろいろな面でよいのではないか。ドローンとヘリコプターなど有人機が接触する可能性を確実に減らせるのではないか」とメリットを強調。鉄塔などに気象観測設備を取り付けることで、飛行ルートの気象状況をリアルタイムで把握できるといった利点も説明した。

 また、斎藤氏は同構想の一環として、今年12月に埼玉県秩父市でドローンのテスト飛行コースを開設する予定を明らかにした。物流などへの活用を目指す企業や研究機関向けに実証実験の場として開放する。来年3月までは無償とする計画。

 テストコースは同市内の浦山ダム付近にある送電線用鉄塔を活用して設定。全長約2キロメートル、高低差は約150メートル。目視外飛行を試せる環境が整っており、既に楽天などがドローンによる配送実験を行ったことがある。東電サイドが風速計や発電機を貸し出したり、事故に備えた損害保険に加入したりと、コースを使う企業や研究機関をバックアップする。

 斎藤氏は「今後は都市部など異なる条件を想定したテストコースを開設していきたい」と語った。

労働力不足を救う人手不要の「自律飛行」

 次に、商業用ドローンの開発などを手掛けるベンチャーの自律制御システム研究所(ACSL)の鷲谷聡之取締役COO(最高執行責任者)が登場し、ドローンを活用した産業界向けの無人化・IoT(モノのインターネット)プラットフォームをテーマに講演。ドローンの自律飛行にこだわる背景などを説明した。


自律飛行への思いを語る鷲谷氏

 鷲谷氏は、労働人口が減少の一途をたどることが避けられない一方、建設後50年以上経過したインフラの割合が13年から33年の20年間にかけて約3倍に膨らみ、点検業務量の拡大が見込まれると指摘。

 「労働力のサプライだけでなくデマンドも問題がある。当社の信念として、こうした課題を解決するためには人がドローンを操縦するのではなく、人が操縦しなくていい世界に持っていかなければならないと思っている」と述べた。

 鷲谷氏は「日本は(安定・安全確保のための)規制づくりで世界最先端を進んでいる」との見方を示した。同社はドローン単体だけでなく、AI(人工知能)などを活用したシステムを開発、提供することで業務の自動化・無人化やIoT化に貢献していくと強調した。

 ACSL独自の取り組みとして、屋内やトンネル内といったGPSを使えない環境でも自律飛行が可能な技術を展開しているとアピール。プラントの配管の点検などに導入されている例を紹介した。

 また、日本郵便が福島県の郵便局間で始めた国内初の「目視外・補助者なし」飛行によるドローン物流で、ACSLの制御技術を活用している関係から、万が一機体が落下しても影響を最小限にとどめるためのパラシュートを搭載していることを明かした。

住民の要望に応え福島でドローン配送再開へ

 楽天インベストメント&インキュベーションカンパニーのドローン・UGV事業部でマネージャーを務める西村剛氏は、同社が国内産業界で先駆的にドローン物流を推し進めている状況を力説した。


ドローン物流の実情を語る西村氏

 西村氏は世界で初めてドローンによる物流サービスを一般に提供したと明言。16年以降、ゴルフ場で注文に応じてクラブハウスからドローンで商品を届けるなどの取り組みを展開してきたことに触れるとともに、扱いやすい操作のアプリケーションを開発したことにも言及した。

 同社が展開しているドローン事業の柱に据えている目標として①新たな利便性提供②「物流困難者」支援③緊急時インフラ構築――を発表。

 その関連で、福島県南相馬市でローソンと組み、移動販売車からドローンを使って商品を住民に届ける実験を、17年10月から半年間の限定で実施したことを取り上げた。西村氏は住民から再開の要望が寄せられていることを受け、今年12月から再び期間限定で実験を行うことを明らかにした。

 さらに19年以降の展開として、千葉市の幕張新都心でドローン物流を行う構想を披露。千葉県市川市の楽天物流センターからユーザーの注文に応じて、ドローンが可能な限り海や河川の上空を通り、幕張まで配送した上で、建物内は地上配送ロボットを使い、商品を届けるとのイメージを説明した。

 西村氏は他にも「自分の自宅前に大きな庭がある方が、ドローンポートを置き、そこにドローンが配送することを想定して実証実験を行っている」と解説。「われわれはECカンパニーとして成長してきたので、最後まで責任を持ってお客さまに荷物を届けることがミッション。新しいテクノロジー、プロダクトを使いながら、地域をエンパワー(支援)して事業を進めていきたい」と締めくくった。

下水道などインフラ点検や被災状況調査でも活躍

 最後にドローンをめぐるトークセッションを開催。鷲谷氏のほか、パイオニアの小川和也マップ&ロケーション事業開発部長、日立造船の山口裕一機械事業本部部長、楽天AirMapの宰務正事業開発部長が参加し、自社が持つ強みをドローンの分野につなげていこうとする動きをそれぞれ明らかにした。PwCコンサルティングの岸本展明氏がモデレーターを務めた。





セッションに参加した(上から)小川氏、山口氏、宰務氏、岸本氏

 鷲谷氏は講演からの続きで、ACSLが注力する市場としてインフラ点検、物流・郵便、防災・災害対応の3分野を挙げた。インフラ点検では、下水道の中をドローンで点検する新たな手法を動画で説明し、九州豪雨の際には現地の被災状況を上空から撮影し、迅速な救出・復旧への貢献を図ったことも紹介。「ドローンは情報があればあるほど安全に飛行できる。収集する情報の精度を上げていきたい」と語った。

 小川氏はグループで築き上げてきたナビゲーションシステムや地図作成、各種センサーなどの自動車用技術をドローンにも活用できると解説。「当社のアセットをパートナーと連携し、ドローン用途に最適化していく」とプレゼンテーションした。

 山口氏は高精度の測位技術をドローンと組み合わせ、離島へのドローン物資輸送実験に参加したことに言及。同技術を生かして煙突やダム、橋梁といったインフラの点検にドローンを用いることを視野に入れているとPR。「風の問題や着陸時の制御などの課題がクリアされていけばもっとドローンを使いやすくなる」と期待を込めた。

 宰務氏はドローンの操縦者と飛行空域の管理者を結び付けるUTM(無人航空機管制システム)を普及させ、安全かつ円滑なドローン飛行をサポートすることでドローン産業拡大につなげたいとの思いを吐露。「UTMのアプリに気象情報も追加し、より安全にお使いいただけるようにしたい」と述べた。

 岸本氏は「当社としても業種に横串を通し、戦略立案のサポートやオペレーションの設計などでお役に立てる機会を提供していきたい」と総括した。

(藤原秀行)

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