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PwCコンサルティングがセミナーでドローンの積極活用提案(前編)

PwCコンサルティングがセミナーでドローンの積極活用提案(前編)

グローバルの潜在市場規模は物流などで14兆円と推測

 PwCコンサルティングは11月22日、東京都内の本社で「ドローンを利用した次世代のビジネス変革のすすめ ~規制緩和の実現による利活用と広がり~」と題するセミナーを開催した。

 同社担当者がドローン市場の展望や事業化を目指す上で留意すべきポイントなどを解説。グローバルで潜在的なマーケット規模は物流などの方面で14兆円に上るとの意欲的な見方を示し、参加した約30人に積極的な利用を提案した。

併せて、既にビジネスへの導入を意欲的に進めている企業の担当者が独自の取り組みと成果、課題を解説した。セミナーの模様を2回に分けて詳報する。

ドローンを「新たな世界に踏み込む手段」と提唱

 冒頭、同社テクノロジーコンサルティングの桂憲司パートナーがあいさつし、「テクノロジーは何か要件を作って実現する手段にすぎなかったが、最近は何か新しい世界を作っていくことに寄与すると感じており、ドローンもそうだと思っている。今までにない物の運び方、物の点検の仕方ができてくる」と指摘。

 「新しいものが出てくると当然規制もできてくるが、弊害を作るものではなく、どのように利用するか、促進していくもの。新しい世界、新しいビジネスに踏み込んでいくための手段として、ドローンを考えていただきたい」と語り掛けた。


あいさつする桂氏

 続いて、国土交通省航空局安全部の伊藤康浩安全企画課専門官が「改正航空法の概要と環境整備に向けた取り組み」をテーマに講演。さまざまな産業分野でドローン活用を後押しするための法整備の現状などに言及した。

 2017年12月施行の改正航空法で規制対象となったドローンの定義、飛行に際して事前に国交省へ申請、許可を得る必要がある空域などを詳細に説明。今年10月末までの間、申請が累計で約5万9千件に達し、利用が確実に広がっていることを紹介した。

 承認を得た申請に関し、17年度は飛行目的の4割強が空撮で最も多く、次いで測量、インフラ点検・保守、事故・災害対応など、報道取材、農林水産――と続いていることを明らかにした。また、事故に備えた保険には9割強が加入しており、伊藤氏は「操縦者らの安全意識も向上している」との見方を示した。

 同時に、事故などのトラブルが17年度は55件、18年度も62件報告されていることにも触れた。


登壇した伊藤氏

 直近の動きとして、今年9月、操縦者らの目が届かない長距離を飛ばす際、従来求められてきた飛行経路途中の補助者配置が不要となる許可・承認の審査要件を明確化したことを取り上げ、ドローンの機体に設置したカメラで飛行ルート下への人間の立ち入りを監視できるようにする点などを条件にしていると解説した。

 その流れを受け、11月には日本郵便が福島県内の郵便局間で書類などを運ぶ国内初の「目視外・補助者なし」ドローン物流を開始したことを強調した。

 最後に、許可・承認の申請先は、空港の周辺や高度150メートル以上でドローンを飛行させようとする場合は空域を管轄している空港事務所に、それ以外は東京航空局と大阪航空局のいずれかにそれぞれ行うようアドバイス。今年4月からドローン情報基盤システム「DIPS」によるオンライン申請が可能になったことに触れ、「昨年は100%紙による郵送だった。今は申請の7割程度がオンライン経由となっている。ぜひ活用いただきたい」とアピールした。

「22年に有人区域でドローン輸配送可能に」と予測

 続いて、PwCコンサルティングの岩花修平シニアマネージャーが登場し、国内外でのドローン活用の最新動向と今後の展望に関してプレゼンテーションした。

 PwCグループの推計として、グローバル規模でのドローンの潜在市場規模は14兆円に上るとの見方を披露。今後の普及については「20年から限定エリアで、22年前後から有人区域でそれぞれドローン輸配送が可能になる」との独自の見立てを示した。

 海外の動向にも焦点を当てた。欧州では欧州委員会が今年10月、各国で異なっていたドローンの運用・技術上の要件に関する規制の最新のドラフトを発行し、規制の統合に向けた動きを進めていることを説明。

 米国はFAA(連邦航空局)が今年9月、ホビー用ドローンを安全規制の除外にすることを廃止する方針を決定、登録制度を通じて管理するとともに、第三者の上空飛行禁止に動いていることなどを指摘した。


最新動向を紹介する岩花氏

 このほか、東アフリカでドローンを用いた医療物資輸送に成功した事例や、アイスランドのスタートアップが世界で初めて都市部でのドローン配送を実現したケースなども引用。さらに、PwCグループが17年に実施したグローバル調査で、回答者の3分の1以上がドローンに商品の配送を任せてもいいと表明したことも取り上げた。

 さまざまな状況を踏まえ、輸配送分野でドローンを使う強みを①即配可能②高効率配送③空輸に対して安価④環境性――と総括。「この強みを生かす形でビジネスを検討することが重要」と訴えた。併せて、実現の可能性が高い用途として「ラストワンマイルを担う小口配送」「過疎地山間部など」「血液といった緊急配送」を提示。今後の流れとして、前述の見立てに加え、徐々にペイロード(積載重量)が拡大し、26年ごろには都市部での配送が広がっているとのイメージを描いてみせた。

強みを持つ事業者の連携が成功に必要

 同社の佐々木智広シニアマネージャーは、今後想定されるドローンビジネス成功の鍵をテーマにスピーチ。前段として「ドローンがもたらす価値をしっかりと定めた上で活用領域を検討すべき」と強調した。

 ドローンを生かせる具体的なフィールドとして

①「圧倒的生産性の確保」…山間部といった輸送困難地域での物資輸送など

②「コスト削減」…ヘリコプターや軽トラックの代替など

③「作業品質の向上」…交通インフラ管理におけるドローン撮影画面の分析など

④「新しいビジネスの開発」…ドローンのメンテナンスや飛行空路提供、トレーニングなど

――を列挙。大きな方向性として「ドローンで扱う情報と物理的な機能の広がりがドローン活用の可能性を大きくする」「ドローンの台数・活用機能を拡大し、ビジネスを変革できるかが成功の鍵」と分析した。

 さらに、ドローン関連ビジネスの特徴として、ビジネスモデルが多数の関係者で複雑に構築される点を挙げ、「1社単独では成功までの道筋が見えづらい」と指摘。最適な技術開発、制度や基準の変化への適切な対応といった強みを持つ事業者が連携する重要性をアピール。今後キープレーヤーとなるのは技術や各種システムなどの「プラットフォームの場を提供できるかどうか」と説いた。


キーポイントを解説する佐々木氏

(藤原秀行)

PwCコンサルティングがセミナーでドローンの積極活用提案(後編)

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