米税関・国境警備局、ウイグル問題でユニクロシャツの輸入差し止め

米税関・国境警備局、ウイグル問題でユニクロシャツの輸入差し止め

関与否定のファーストリテ反論を却下

米税関・国境警備局(CBP)が今年1月、ファーストリテイリングが展開しているアパレルチェーン「ユニクロ」の男性用綿シャツ輸入を差し止めていたことが分かった。CBPは中国・新疆ウイグル自治区の人権侵害問題をめぐる輸入禁止措置に違反したことを理由に挙げている。

CBPが5月10日付で公開した文書によると、1月5日にロサンゼルス港で当局が当該の商品を押収した。中国共産党の傘下組織が原材料の生産に関わった疑いがあると指摘している。米政府は人権侵害問題に関連し、この組織が関与した綿製品の輸入を禁止していた。

ファーストリテイリングは原材料の綿について、中国国外のオーストラリアなどで生産されたものと主張したが、CBPは人権侵害に関わる製品を使っていない証拠を提示する義務を十分果たしていないと判断、同社の反論を却下した。同社はCBPの決定に遺憾の意を示すとともに、サプライチェーン運営における人権尊重に最優先で取り組んでいると強調している。

ウイグルの問題については、人権侵害を激しく非難する欧米諸国などと、問題の存在自体を強く否定する中国が真っ向から対立している。今回のCBPの動きはサプライチェーンに中国を組み入れている多くの日本企業にとって、ウイグルの問題は無視できない課題となっていることをあらためて示した格好だ。

(藤原秀行)

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