【独自取材】清水建設、埼玉・新座の大規模物流施設開発プロジェクトが6月竣工

【独自取材】清水建設、埼玉・新座の大規模物流施設開発プロジェクトが6月竣工

最後の3棟目は2万平方メートルのBTS型、いずれもフル稼働へ

清水建設が埼玉県新座市で手掛けてきた、計3棟の先進的物流施設を同一エリアで集中的に開発するプロジェクト「S・LOGI(エスロジ)新座」のうち、最後の3棟目となるBTS型施設「エスロジ新座 East2」が6月に竣工する。

同プロジェクトは新座市の土地区画整理事業に参画、約9万平方メートルの土地に3棟が集まる形で位置しており、約8年がかりで開発を進めてきた。関越自動車道の所沢ICから約2キロメートル、外環道の和光ICから約7キロメートル、東京の新宿副都心から約20キロメートルと大消費地にアクセスしやすい立地が強みとなっている。JR貨物の新座貨物ターミナルまでは約1キロメートルと近接しており、モーダルシフト需要にも対応可能だ。

「エスロジ新座East2」は地上4階建て(1~2階RCSS造、3~4階S造)、延べ床面積は2万36平方メートル。SBSグループで物流事業に特化した人材派遣・紹介を担うSBSスタッフが賃借し、物流企業のエムティエス(埼玉県朝霞市)に転貸する。

エムティエスは化粧品の充填などの流通加工を請け負っているため、室内を極めて清浄に保つことが可能なクリーンルームを複数準備するなど、BTS型としてテナントのニーズに細かく配慮した造りになっている。


上空から撮影した「エスロジ新座」(太陽光発電パネルを搭載している中央の3棟)。左が「West」、右の奥側が「East1」、手前側が「East2」(清水建設提供・手前側が東京方面)

独自開発の早期火災検知システムを初実装へ

清水建設は大手ゼネコンとして物流施設などの建築を請け負うのに加え、自社で投資枠を設定し、国内外で不動産の投資開発事業を展開している。オフィスビルやホテル、マンションなどのほか、近年は需要が伸びている物流施設にも進出、「エスロジ新座」は同社にとって物流施設開発では過去最大規模の案件だ。

3棟のうち最も大きく、19年8月に完成したマルチテナント型の「エスロジ新座West」は地上4階建て、延べ床面積13万1859平方メートルで、既に満床稼働となっている。20年1月に竣工したBTS型の「エスロジ新座East1」も着工時にテナント企業との賃貸借契約を締結済みで、3棟がそろってフル稼働することとなる。

同社はテナントの要望に応じて柔軟に庫内のレイアウトを変更できる設計とするなど、「エスロジ新座」でさまざまな工夫を凝らし、物流施設開発の経験を蓄積してきた。今後も都市部を中心に物流施設開発を継続していく方針を堅持しており、「エスロジ新座」の成果を横展開していきたい考えだ。

「エスロジ新座」プロジェクトで新たな試みとして既に発表している、AI(人工知能)を活用した早期火災検知システムに関しては、「エスロジ新座East2」で初めて実装される見通しだ。同システムは近年物流施設で大規模な火災が相次いで起きているのを踏まえ、清水建設が確実な初期対応を後押しできる機能を独自に開発。法定の自動火災報知設備を補助するものと位置付けている。

同システムは火種が発生してから5~10分程度で察知が可能とみており、働いている従業員や庫内で保管している商品に深刻なダメージを及ぼす前に初期消火活動を始められると想定している。

(藤原秀行)

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