【JapanDrone】ドローンの都市部上空目視外飛行、21年末までに解禁目指す

【JapanDrone】ドローンの都市部上空目視外飛行、21年末までに解禁目指す

内閣官房幹部ら、物流など普及へ取り組み状況紹介

ドローンに関係する内閣官房と経済産業、国土交通両省の担当者が6月14日、ドローンの国際展示会「Japan Drone(ジャパンドローン)2021」(主催・日本UAS産業振興協議会=JUIDA、コングレ)で講演し、ドローン普及に向けた政府の取り組み状況を説明した。

担当者は、人口が密集している都市部上空でドローンが操縦者らの目が届かない目視外の遠距離まで自律飛行できる「レベル4」を2022年末までに解禁できるよう準備を進めたいとの考えを表明。離島や山間部での物流、医薬品配送などへの活用を後押ししていく意向を示した。

また、医薬品をドローンで運ぶ際のルールを策定、早急に公表したいと意欲を見せた。


講演会場

内閣官房小型無人機等対策推進室の長﨑敏志参事官は、レベル4に関して「2021年12月ごろまでに実現させるべく、取り組んでいかないといけない」と強調。レベル4実現をにらみながら今後活用を目指す分野として、離島や山間部の物流、災害対応、警備、医薬品配送を列挙し、それぞれの分野で課題解決を進める必要性を指摘した。

その一例として、ドローンが道路や河川、国立・国定公園、国有林、港湾といった設備・場所の上空を飛ぶ場合、必要な手続きなどが不透明なため、道路を上空で横切るだけでも監視要員や警告の立て看板を設置すべきかどうかといった混乱が現場で生じていたことに言及。関係省庁と調整の上、道路や河川などの上空を単に通過する場合は原則として手続きを不要にし、飛行準備の負荷を減らしたことを報告し、物流や災害対応などへのドローン投入をバックアップできるとの見方を示した。

今後の対応として、医薬品をドローンで運ぶ際、品質を維持するための温度管理の在り方や患者本人へ確実に手渡す方法などのルールを作成、近く公表する方向で検討を進めているほか、第三者の土地上空を飛ぶ場合のルールについても協議していることを明らかにした。

長﨑氏は「レベル4実現の際、国民の皆様から役に立ったと評価いただけるようにしていきたい」と抱負を述べた。

高セキュリティドローン、米国やインドなど海外展開も視野

経産省製造産業局の川上悟史次世代空モビリティ政策室長は、ドローンの産業振興の面からの施策についてプレゼンテーションした。これまでに安全かつ安心して飛行できるよう、運航管理システムの設計や衝突回避技術の開発などを促進していると説明。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業として、自律制御システム研究所(ACSL)やヤマハ発動機、NTTドコモと連携し、セキュリティ機能を高めて機体の乗っ取りや撮影した画像の漏洩などを防ぐ新たなドローンを開発したことに触れた。

今年夏ごろをめどにフライトコントローラーのインターフェースを公開、量産できる体制を整備し、21年中に政府が調達するドローンとして提供できるようにするほか、電力・インフラ事業者に利用を働き掛けたり、米国やインドに展開したりすることも視野に入れていると語った。

国交省航空局の成澤浩一参事官(次世代航空モビリティ担当)は、今年の通常国会で成立した改正航空法の中で、「レベル4」実現に向けて盛り込まれた機体の安全認証制度や操縦の国家資格(ライセンス)創設などの概要を紹介。ライセンスは3年での更新を予定していることなどを明かした。

また、改正航空法は都市部以外の人が少ないエリア上空でドローンを自律飛行させる場合、従来は飛行ごとに国の許可・承認を必要としていたが、今後は原則として不要とするなど規制緩和を講じている点を報告した。

(藤原秀行)

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