23年冬竣工見込む、災害や「2024年問題」で拠点分散化ニーズ増に対応
プロロジスは8月5日、岩手県紫波郡矢巾町で新たにマルチテナント型物流施設「プロロジスパーク盛岡」を開発すると発表した。
東北エリアではこれまでに仙台市などで物流施設を展開してきたが、岩手県内での開発は初めて。地上3階建ての鉄骨造、延べ床面積は約10万平方メートルを計画。東北エリアの物流不動産市場で最大規模の物流施設になる見通し。着工は2022年春、竣工は23年冬をそれぞれ見込んでいる。
「プロロジスパーク盛岡」の完成イメージ(プロロジス提供)
開発予定地は、東北縦貫自動車道の盛岡南ICから約4・7キロメートル(約8分)、県道13号から約1・5キロメートル。盛岡市を中心とする消費地にアクセスしやすく、3時間以内に南は仙台、北は本州最北まで到達できると想定。国道46号を利用すれば秋田県への配送にも対応可能で、交通アクセスの利便性にも優れており、同社は「青森・秋田・岩手の東北3県をはじめ東北地方広域への配送に最適な立地」と強調している。
開発地に隣接し、高稼働率を維持している物流集積拠点「岩手流通センター」には大手物流企業などが進出し、東北3県の物流ハブとして存在感を発揮している。
近年災害が多発していることへの備えや、24年4月からトラックドライバーの時間外労働への上限規制が厳格化する「2024年問題」への対応として、東北エリアにおいても拠点分散化ニーズが増加している。現在、東北の物流ハブとなっている仙台エリアに加えて、今後は北東北への中継地点として、開発地予定地周辺への立地ニーズが伸長するとみて進出を決定した。
上り下り専用のスロープを設け、各階のトラックバースに45フィートコンテナセミトレーラーがアクセス可能な仕様を採用。ワンフロアでの最大の賃貸面積は約1万9000平方メートル、最小面積は約5000平方メートルからと設定する計画。
区画ごとに片面バース、両面バース、高床式、低床式を組み合わせ、入居企業の多様なオペレーションのニーズに応える。防災、BCP(事業継続計画)の観点から緊急地震速報システム、衛星電話、非常用発電機などを備えるほか、環境負荷軽減の観点から屋根面に太陽光発電の設置を検討している。十分な寒冷地・積雪対策も講じる。
プロロジスは東北地方でこれまでに9棟の物流施設を開発している。
(藤原秀行)