日本の大型物流施設開発面積、22年は330万平方メートルと予想

日本の大型物流施設開発面積、22年は330万平方メートルと予想

JLLがアジア太平洋地域動向リポート、「需要拡大は長期サイクル」と展望

JLL(ジョーンズ ラング ラサール)は9月7日、アジア太平洋地域の物流・産業用不動産市場動向に関するリポート「新たな成長への道筋」を公表した。

投資家は同地域の物流・産業用不動産への投資を加速させており、投資額は2019~20年の250億~300億ドル(約2兆7500億~3兆3000億円)から、23~25年には約2倍の500億~600億ドル(約5兆5000億~6兆6000億円)に増えるとの予測を明らかにした。

日本でも物流不動産への投資が伸びており、投資額は20年に1兆3800億円と、19年実績の1・5倍に拡大。オフィスビルと肩を並べる主要なアセットになっており、大型物流施設の開発面積は東京圏で19年の200万平方メートルから20年に215万平方メートル、21年には250万平方メートル、22年には330万平方メートルに増加していくとみている。

物件価格高騰で利回りも大きく低下すると分析。東京圏は19年末と比較して30bp、23年までに20bp(1bp=0・01%)程度下がると見積もっている。

リポートは大型物流施設の需要を牽引しているeコマースについて、大型物流施設のテナントに占める割合が10~18年末の21%から19~20年は28%と大きく拡大していると解説。「今後竣工する物件の予約契約のテナントを見ると、eコマースによる物流不動産の需要拡大の勢いはまだまだ衰える気配がない」と強気の予想を示し、物流コスト上昇による拠点見直しや物流施設の持つ役割の多様化といった変化も追い風となり、長期的なサイクルで需要拡大が続くとの持論を展開している。


東京圏の大型物流施設の新規供給動向(JLLリポートより引用)

JLLアジアパシフィック ロジスティクス&インダストリアルヘッドのトム・ウールハウス氏は「アジア太平洋地域全体における資産配分やサプライチェーンネットワークの構造変化は、物流不動産への投資やテナント需要を加速させている。物流不動産への投資増加は同時に、質の高い施設を重視するテナント企業の戦略の変化、EC事業者やITを活用したサプライチェーンを利用する『ニューエコノミー』と呼ばれるテナント企業への構造の変化を現している」と指摘。

JLL日本 リサーチ事業部チーフアナリストの谷口学氏は「他のセクターと比べて堅調な需要が予想される物流不動産に対する注目度は高く、国内外のデベロッパーや投資家の参入が続いており、今後もまだまだ増える見込み。eコマース拡大やテクノロジーの導入、サプライチェーン見直しなど物流分野で生まれる新たなトレンドによって、物流不動産の成長は長期的に続くと期待している」とコメントした。

(藤原秀行)

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