コロナ禍で部材・部品調達滞り、商品の供給難響く
国際通貨基金(IMF)は10月12日、世界経済見通しを改定した。
2021年の世界全体の経済成長率は物価変動の影響を除いた実質ベースで前年比5・9%と、7月に公表した前回の予測から0・1ポイント引き下げた。伸び率自体は、比較可能な1980年以降の40年余りで最大になる見通し。新型コロナウイルスの感染拡大で20年の成長率が大きく落ち込んだ反動もある。
IMFは新型コロナウイルスの感染が続く中、部材や部品の調達が滞り商品が供給できないことなどが影響しているとみており、「回復の勢いが弱まっている」と指摘している。22年の実質成長率は4・9%で、7月の公表数値を据え置いた。
主要国別の21年実質成長率予想を見ると、米国は6・0%で、7月時点から1・0ポイント下方修正した。コロナ禍で経済活動の再開が遅れ、商品供給が減って個人消費が減速していることが響いた。半面、22年は0・3ポイント上方修正して5・2%に変更した。
中国は21年が0・1ポイント引き下げて8・0%、22年も0・1ポイント引き下げて5・6%に修正した。IMFは同国の不動産大手、中国恒大集団の経営危機を受け、中国の不動産部門の動向をリスクに挙げている。
日本は21年が0・4ポイント下方修正し2・4%、22年は0・2ポイント引き上げて3・2%に修正した。緊急事態宣言が長引いたことなどを反映させたとみられる。
(藤原秀行)