「運輸業・郵便業」は日立物流や西濃運輸、カンダHD、山九など56に
経済産業省は10月19日、下請け事業者との取引関係適正化やIT導入による業務効率化などを進め、サプライチェーン全体の付加価値向上を図ることを自主的に公約する「パートナーシップ構築宣言」に関し、参加する企業や団体が2000を突破したと発表した。
10月19日時点で2052に到達。「運輸業・郵便業」は56に上り、日立物流や西濃運輸、カンダホールディングスと傘下のカンダコーポレーション、山九、丸和運輸機関、JFE物流、三菱ケミカル物流、アサヒロジスティクスなどが名を連ねている。
同宣言は2020年5月に制度の導入を決め、全国中小企業振興機関協会が運営する専用のポータルサイト上で各社の宣言内容を公開している。今年6月に政府が閣議決定した成長戦略の実行計画で2000社への拡大を目指す方針を打ち出した。
同宣言は新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢悪化で中小企業や小規模事業者が取引条件などで不利な扱いを受けないようにするとともに、外部の技術や知見を積極的に取り入れる「オープンイノベーション」や業務のデジタル化を促進する狙いがある。
宣言自体に法的拘束力はないが、政府は宣言を公表した企業に補助金の優遇措置を講じて実施を後押ししている。企業にとっても社会的なイメージアップにつながるとの効果を期待しており、国土交通省などが進める「ホワイト物流」推進運動と類似した仕組み。
各企業は宣言の中で、他社とのオープンイノベーションやM&Aによる事業承継支援などの「企業間の連携」、共同EDI(電子データ交換)の構築やデータの相互利用など「IT実装支援」、「専用人材マッチング」の3項目の中から積極的に取り組むものを選定。具体的な内容を記載している。
さらに、下請け事業者との間の望ましい取引慣行を順守し、公正なパートナーシップ構築の支障となる取引慣行や商慣行の是正を積極的に図ることを明示。不合理な原価低減や下請け代金の現金支払い励行、片務的な秘密保持契約の回避などを進めることも打ち出している。
(藤原秀行)