米バルティーニ製、水素燃料電池モデルは約2時間で最大550キロメートルをカバー可能と見込む
長い滑走路を必要とせずに旅客や荷物を運べる「空飛ぶクルマ」関連事業を手掛けるエアモビリティは10月20日、米国の空飛ぶクルマメーカー、Bartini(バルティーニ)と独占販売契約の締結で基本合意したと発表した。
バルティーニは、旧ソ連の航空技術をベースとして2017年に米国で発足。研究開発(R&D)センターはロシアのモスクワ南郊外に位置する航空技術者の街、ジューコフスキーに拠点を置く。
バルティーニの機体は高いエネルギー効率や冗長性、省スペースでの離着陸などに特徴があり、大幅な運用コストの削減を達成できると期待されている。
また、電池と水素燃料によるハイブリッドエンジンを採用することで、バルティーニの機体はバッテリー単体駆動の機体に比べて最大約4倍の航続距離を達成できるという。ローターを地面に対して垂直に傾けることにより時速300キロメートルで飛行する。
空気力学的に洗練された形状を持つキャビンは、飛行効率の向上によるコストダウンを実現するだけでなく、エレガントなデザインや、キャビン内の快適性も実現。プロペラは遮蔽されることで安全も担保しつつ、より速く、よりクリーンな移動を可能にすると期待されている。
水素燃料電池モデルは約2時間で最大550キロメートル、リチウム電池モデルは30分の飛行で150キロメートルの範囲をカバーできると見込む。操縦は、マニュアルと自律飛行の2つのモードを設定。
内装イメージ。2人乗りと4人乗りのモデルを用意
バルティーニでは長年、民間航空会社向けに旅客機を製造・認証してきた確かな実績を持つ航空技術者チームを保有。同社の技術をベースにした空飛ぶクルマは2025年に販売を開始する予定。
※以下、プレスリリースより引用(一部、編集部で修正)
バルティーニ CEO(最高経営責任者) Ílya Khanykóv氏
われわれBartini社はエアモビリティ社と、我々の重要な市場の一つである日本において、販売代理店契約を締結でき大変嬉しく思います。われわれは日本では環境、コミュニティ、安全性、高品質の革新性、美学を大切にしていることを知っており、私たちが開発した「空飛ぶクルマ」はそのニーズに必ず応えられると考えております。われわれはエアモビリティ社と日本市場での長く実りある関係が構築できるのを楽しみにしております。
エアモビリティ 代表取締役社長&CEO 浅井尚氏
最近「空飛ぶクルマ」の話題は各メディアでも頻繁に取り上げられるようになってきました。そして2025年の大阪・関西万博では「空飛ぶクルマ」を使った輸送サービスも提供される予定です。各自治体からも「空飛ぶクルマ」を活用したサービス構築に向けた相談を度々いただくようになりました。このように「空飛ぶクルマ」産業は確実に動き出し、広がってきておりますが、それに合わせてニーズも多様化してきており、そのニーズに合った「空飛ぶクルマ」をいかに提供できるかが大きな課題でもあります。
エアモビリティ社では、それらのニーズに対応できるような「空飛ぶクルマ」のラインナップを拡充するため、今回Bartini社との独占販売契約に基本合意しました。既に契約しておりますDufour Aerospace社、VRCO社と合わせて、多様なマーケットニーズに対応できる体制が整うと考えております。
(画像はエアモビリティ提供)
(ロジビズ・オンライン編集部)