画面右下のベルマークから『プッシュ通知』受け取れます(iOSなど一部環境を除く)

【独自取材・物流施設デベロッパーのキーパーソンに聞く】プロロジス・山田社長(後編)

【独自取材・物流施設デベロッパーのキーパーソンに聞く】プロロジス・山田社長(後編)

地方でもマルチテナント型の物流施設が求められている

プロロジスの山田御酒社長はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

山田社長は、これまで軸足を置いてきた首都圏や関西圏、中部圏の3大都市圏に加え、今後は地方エリアでも需要を慎重に見極めながら開発に注力していきたいとの意向を表明。高速道路の延伸で物流適地が広がっていると指摘するとともに、需要も見込めるとして、都市部以外での事業展開加速に自信をのぞかせた。

また、将来の目標として、物流施設のオペレーションを完全自動化することにあらためて意欲を見せた。インタビューの後編を掲載する。


インタビューに応じる山田社長(中島祐撮影)

九州は災害リスクを十分考慮

――最近は都市部以外での物流施設開発にも注力している印象です。
「来年春には岩手県矢巾町で、当社としては同県で初めての物流施設に着工します。仙台エリアでも新しいプロジェクトを始めますし、中部エリアでも愛知県だけだったのを、三重県などにもう少し拡大しようと取り組んでいます。関西エリアもこれまでの大阪府や兵庫県、京都府に加えて滋賀県などにも少しずつ広げていくことを考えています。首都圏でちょうど圏央道がどんどん延伸されていくのに併せて、その沿線で開発を進めていったのと同じように、新名神高速道路の開通に伴って開発エリアを広げていくイメージですね」

「先日竣工した兵庫県猪名川町の案件もそうですし、その前の京都・京田辺や大阪・茨木もそうですが、従来は関西エリアの内陸部で開発するのはなかなか難しかった。しかし、需要の高まりで収益がシミュレーションで期待できるようになり、全然問題がなくなってきました。猪名川にしても、大阪市内から車で30分かからないんですよ。竣工式に向かう途中の車内であいさつの原稿を読もうと思っていたら、もう着きますよと言われて大変驚きました。どうしてこんなに早いの?という感じです。高速道路のICから降りたら2分程度で着いてしまう。大変良い場所ですよね。このように、道路の延伸とともに物流施設のマーケットも少しずつ変わっていきますから、必ずしも県単位とか、既存のマーケットだけに頼る必要はないのかなと思っています」

「それともう一つはやはり、大きな流れとして、関東と関西に物流拠点を置けばいいということではなくなってきています。すなわち、長距離を走るトラックドライバーさんの不足の問題もありますし、災害が頻発している現状では、有事の際に何でもかんでも関東や関西から商品を供給していたのでは間に合わなくなってしまうので、ある程度地域分散型にして、コントロールできるようにすることも求められています」

――先進的な物流施設に対するニーズは十分見込めますか。
「今回、岩手の盛岡エリアに進出するのも、以前は東北6県の物流の中心が仙台だと考えていたのですが、実はそうではなくて、東北の中でも北の青森、秋田、岩手の3県は経済情勢などが異なる、その3県の動向をどこから見るかというと、それは盛岡からになると指摘されたんです。そこで盛岡エリアを実際に見に行っていろいろと市場動向を調査してみたところ、結構な規模があり、大手の物流企業の皆さんが進出されていました。メーカーも同様です。現地でもし先進的な物流施設を作ったらご興味ありますかと尋ねたら、皆さん、そういうものを待っていたんだよねと仰る。そこで盛岡エリアに注力してみようと考えました」

「当社は昔、岡山の早島で物流施設開発を手掛けたことがありますし、九州エリアは福岡と佐賀・鳥栖で進めてきましたが、他にもビジネスの機会はあるんじゃないかと感じています。岡山の向かい側の四国はどうかとか、日本海側に拠点を持つというのもありなんじゃないかとか、ポテンシャルを備えているエリアはいくつかありますから、今後じっくりと探っていきたいと思います」

「首都圏と関西圏はもちろんマーケットのサイズが大きいですし、お客様の層も厚いので事業を展開する上で一番安全なエリアではあります。しかし、地方でも物流施設を展開して現地のお客様のニーズをきちんと拾っておくのも非常に意義があって大事なことだとあらためて思いました。地方こそ大規模なマルチテナント型の新しい物流施設を必要としていると仰る方もいらっしゃいますし、そのニーズを感じています。宮城県の岩沼市では火災があった物流施設を建て替えますが、竣工後は複数企業が入るようになっていますし、仙台市の泉エリアでも同様です。地方でもマルチテナント型の物流施設を展開していこうと思っています」

――九州の場合は豪雨などの災害リスクを十分考慮する必要があるのでは?
「それはその通りです。これだけ様々な災害が起きているのを見せつけられると、場所を選ばなければいけないというのは間違いありません。海抜が高いエリアを選んだり、そうでなければ自分たちで建物をかさ上げしたり、配電設備を上層階に持っていったりといった工夫をしていきます。九州はなかなか開発用地が簡単には出てこないですが、獲得できれば積極的に有効活用していきたいですね」


岩手県矢巾町で新たに開発するマルチテナント型物流施設「プロロジスパーク盛岡」の完成イメージ(プロロジス提供)

業界全体のスタンダードになるシステムを作りたい

――物流施設開発で新たに検討している取り組みはありますか。
「テクノロジーの話は何年かかるか分かりませんが、究極の目標はやはり、プロロジスの施設が出来上がりました、ほぼ無人で動いています、今日ご入居いただければ即荷物を預けてすぐに出荷できます、どのようにオペレーションを動かしていきたいか言ってください、そうすればすぐにプログラムを入れて運営を開始できます、という姿を実現することですね。単に不動産を提供するだけではなく、庫内オペレーションの効率化のお手伝いまでさらに踏み込んでいきたい。そのためには、物流業界全体のスタンダードになるようなシステムを作らないといけない」

「少子高齢化で人手が足りないし、物流施設はどんどん全自動化に近づいていくでしょう。今でもメーカーさんはほとんど、ロボットで物を作り人間はロボットの管理に専念するという世界になっていますから、物流でもそんなに遠い世界の話ではないと思います。例えば、将来は病院から処方が自動的に物流施設へ送られてきて、薬剤師が薬を出し、個人宅に運んでいくという病院みたいな物流施設、薬局みたいな物流施設ができても不思議ではないでしょう。それも1つの物流施設のあるべき姿ではないかと思います」

「先ほどもお話しした通り、物流施設は先進的な技術を生み出していく場にしていきたい。そうした考え方にシフトしていかないと、物流施設の領域もドメスティックなものになってしまって、世界の動きに乗り遅れてしまうのではないか。完全自動化もまだまだ時間がかかりますが、新たなことにこだわっていきたいと思います」

(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事