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【独自取材・物流施設デベロッパーのキーパーソンに聞く】日本GLP・帖佐社長(前編)

【独自取材・物流施設デベロッパーのキーパーソンに聞く】日本GLP・帖佐社長(前編)

「地域への貢献・共生が物流施設の標準機能になる」

日本GLPの帖佐義之社長はこのほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じた。

帖佐社長は、神奈川県相模原市や千葉県流山市で進めている、特定のエリアで大規模な先進的物流施設を集中的に開発するプロジェクト「ALFALINK(アルファリンク)」に関し、物流を従来のような縁の下の力持ち的な存在から企業のブランディングに大きな効果を生み出す存在へ変えるために情報発信していく「OpenHub(オープンハブ)」などの機能が評価されていると分析。今後も同社が物流施設開発を進める上で、ALFALINKが1つの機軸になると強調した。

また、災害発生時に一時避難場所として開放するなど地域貢献・共生が物流施設の主要な機能として定着していくと展望。同社の案件でも、物流施設の規模にかかわらず、そうした機能を標準的に備え続けていくことに強い意欲を見せた。インタビュー内容を3回に分けて紹介する。


帖佐社長

コンセプトは行政にも刺さっている

――新型コロナウイルスの感染拡大に揺れ続けた1年でしたが、2021年のこれまでの物流施設開発事業を総括されて、どのように感じますか。
「いろんな意味で盛りだくさんという1年でした。当社にとってはとりわけ、(大規模な物流施設を特定エリアで集中的に開発するプロジェクトの)『ALFALINK(アルファリンク)』がいよいよ本格的に始動してきたことが大きなイベントでした。ALFALINKプロジェクトの構想を発表したのが3年前ですが、記者の皆さんに初めてコンセプトをプレゼンテーションした際、あまり刺さっていなかった様子を覚えています(笑)。1回のご説明では理解いただけなかった部分が多かったかもしれませんね。神奈川の相模原や千葉の流山でプロジェクトを進めていく中で形が整ってきたように感じます」

「ALFALINKのコンセプトはお陰様で好評をいただいていますが、その中でも『OpenHub(オープンハブ)』に対する共感がすごく強いですね。OpenHubはこれまでにもお伝えしてきた通り、『共創のコミュニティ』『見せる化』『地域共生・BCP(事業継続計画)』をうたっていますが、物流施設自体をメディアとして機能させ、物流の機能を顧客や消費者へ広く発信し、前面に出していくことでこれまでの縁の下の力持ち的な存在から企業のブランディングに大きな効果を生み出す『攻めの物流』へ変えていくという点が非常にお客様に刺さっていると実感します」

「共創に関しても、入居されているお客様同士などの結び付きで実際に新たなビジネスが生まれる実例が出てきています。そうした成果が可視化されていく中で、今後の広がりにも大きな期待を持てるという意味でALFALINKとして開発してきた物件が竣工を迎えたのは、ものすごく大きな出来事だなと思いますね」

「他には、今年5月に発表した、大阪市の区画整理事業に参加して同市内の住吉区で進める複合開発のまちづくりプロジェクトですね。物流施設と商業施設などを組み合わせた大規模な複合開発は当社としても初めてですし、これまでにこうした開発の事例は例がなかったと思います。物流を軸にデイリーユースの商業施設ができたり、物流をキーワードに地域の方たちが憩えるような場所になったりと、まさにALFALINKで体現してきたことを盛り込めています。ものすごく意義は大きいと自負しています。当社がALFALINKプロジェクトを通じて発信してきたことが、行政の方々にも刺さってるんだなと感じられました」


「GLP ALFALINK流山8」の外観


「GLP ALFALINK相模原1」の俯瞰


大阪市住吉区で計画している物流施設2棟を軸とした開発の完成イメージ(いずれも日本GLP提供)

――ALFALINKはコンセプト作成にクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が参加した点が非常にユニークだと思います。彼の存在もプロジェクトを進める上でかなり大きかったのでは?
「もちろんそうですね。非常に大きな意味がありました。佐藤さんとまさに意見を壁打ちするように出し合い、議論し続ける中で、われわれ自身が持っていた理想の事業展開、物流業界に対する思いをよりシャープに見いだせるようになりました。物流業界に貢献したいという思いは従前から強く持っていましたが、具体的にどういう形にするのがGLPらしいのかを研ぎ澄ませていく上で、佐藤さんと過ごせた時間は非常に重要な役割を果たしたと思います」

「先ほどもお話しした、最初に記者の皆さんへALFALINKのコンセプトを公表した際にあまり刺さっていなかったというのは、私自身、まだきちんと腹落ちしていないといいますか、コンセプトにぼやけた部分が残っていたからだと考えています。実際にプロジェクトを進めてみて、なるほどと思っていただけたところもあるのではないでしょうか。地域の方々に施設をどのように使っていただくかという点もそうですし、共創の場としてどのように企業を誘致できるかという点も、なるほどこうやればよかったんだという気づきがたくさん生まれました」

――ALFALINKは相模原も流山も引き合いがかなり強いようですね。
「そうですね。相模原はニーズの強さを踏まえて事業計画を3年近く前倒しして進めています。流山もALFALINKとして開発する部分は全体で契約いただけたスペースが8割を越えていますし、今後竣工する部分についてもフル稼働が見えてきています。今、物流不動産市場全体として、リースアップまでのスピードが上がっていると言われていますが、近傍の同業他社との比較で見ても、ALFALINKのリースアップがかなり早いペースだということは確実に言えるのではないでしょうか」

――引き合いが旺盛というのは、もちろん物流施設の立地に強みがあることが大きいのでしょうが、ALFALINKのコンセプトを好感された部分も強いとは感じますか。
「間違いなくそうですね」

施設の規模が小さくても地域に貢献できることはある

――ALFALINKは相模原で敷地の中心に環状の共用棟「リング」を設置し、地域の方が利用できる拠点にする点もかなり際立っています。今後は今回のALFALINKのように、地域への配慮、地域との共生という視点を重視しないと競争力のあるエリアで物流施設を開発するのは難しくなっていくのではないかという気がします。
「今回竣工したALFALINKのように、敷地にある程度の規模があるからこそ、そうした点にまで注力できるという側面はあると思います。ALFALINKの総敷地面積は流山で約42万平方メートル、相模原で約29万5000万平方メートルに及びます。だからこそ、様々な要素を詰め込めるということもあるでしょう。ただ、多かれ少なかれ、地域とのつながり、関わりを持つということは物流施設の1つの機能として定着していくのではないでしょうか。規模が小さな物件であっても、例えば防災備蓄拠点として運用するといったことは可能でしょうから、どんな形でも何らかの地域貢献ができます。そうなると、大規模な物流施設は地域との密着、共生といった機能が付帯することが当たり前になってくると予想しています」

――物流施設が備える防災面の機能に関しても、地域社会などからのニーズはかなり強まっていると感じますか。
「行政の皆さんにとってはまさにウェルカム、プラスの話だと思いますので、われわれから申し入れる前に、行政の方からご依頼をいただくというケースが最近は多いですね。昔は物流施設の機能が広く認知されてなかったため、われわれの設備をこういう用途に使いませんか、よろしければ災害時にご提供しますよと当社から働き掛けて、ああなるほど、いいですねと言ってくださって話が始まるケースが多かったんですが、最近はその逆が増えています。それは当社としても、物流をより身近に感じてもらう、物流業界のことをよく知ってもらうとの目的に合致していますから喜んで受け入れています」

――昨年12月に佐川急便と災害時協力協定を締結しました。こちらの取り組みは機能していますか。
「こちらはもともと全国で展開しようという協定なので、最初から全国に網を張っています。幸い、発動が必要な規模の災害はまだ起きていませんが、体制自体は既に整っています」


協定に調印した佐川の本村正秀社長(左)と帖佐社長(オンライン会見の画面をキャプチャー)

――ALFALINKの今後の計画は?
「先日公表した大阪府茨木市が3カ所目で、それ以外に関東と関西で計画を進めています。詳細はまだお話しできませんが、もうすぐ公表できるのではないでしょうか。中部エリアでも手掛けていきたいと考えています」

――これだけの大規模な開発用地を取得すること自体、相当難しいのでは?
「当社の発表だけをご覧になっていたら、結構案件が続々と出てくるじゃないかと感じられるかもしれませんが、準備している方からすればずっと温めてきたものがようやく実を結んでいるという感じですね。十分満足できるペースで展開できているかなとは感じていますし、用地を仕入れられればもっと手掛けていきたい。ALFALINKは今後も機軸となります」

――今後のALFALINKも、先ほどお話しした3つのコンセプトは踏襲していきますか。
「そうですね。地域性、個別性みたいなものは毎回加味していこうと思っています。3つの柱は割と普遍的な要素だと思いますから、相模原だからあの3つにする、流山だからどう、ということではありません。3つの柱に共感してくださる方、そうした機能があることを良いと思ってくださる方々がいる限りは続けていきたい。ただ、かといって、3つの柱だけに固執するというわけでもありません」

――ALFALINKの主要な機能の中で、先進的な技術を開発していくというものもありますが、今後の展開は?
「当社グループのモノフルでいろいろとご提供できるものあると思います。既にモノフルではトラック予約・受付サービス『トラック簿』や物流施設向け人材確保支援『適材ナビ』など6つサービスがあります。これはALFALINKに限った話ではないですが、入居者の方々にそういったサービスもご契約いただくというケースは増えてきています。ALFALINKに付随した機能としてのテクノロジーを活用したサービスをご提供することは浸透してきていると思います」

中編に続く)

(藤原秀行)

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