22年の物流施設新規供給、東京圏は25%増の350万㎡を予想:「需給バランスは逼迫から均衡へ」

22年の物流施設新規供給、東京圏は25%増の350万㎡を予想:「需給バランスは逼迫から均衡へ」

一五不動産調査、関西圏は4割程度にペースダウンで安定

工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービスは11月30日、今年10月時点の賃貸物流施設市場の動向に関する調査結果を公表した。

東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県)の空室率は1・7%で、前回調査の7月時点から0・4ポイント上昇した。前回調査時より空室率が上がるのは3四半期連続。

今期(8~10月)の新規供給量は120万7000平方メートルと調査開始以来の最大を記録したのが影響した。ただ、新規需要量も同じく調査開始以来の最大となる109万4000平方メートルに達した。今期中に竣工した16棟のうち11棟が満室で稼働。需要自体は旺盛な状況が依然続いている。

一五不動産は東京圏の動向について、22年の新規供給が21年見通しの約280万平方メートルをさらに25%上回る約350万平方メートルが見込まれると指摘。「今後の需給バランスは逼迫から均衡へと局面が移行していくと考えられる」と展望している。

募集賃料は1坪当たり4580円で、前期の4470円から110円(2・5%)上昇した。この2年間(19年10月~21年10月)で7%上がっており、一五不動産は「需給ひっ迫に基づく賃料上昇で、この局面は終焉しつつある。大量供給が控える22年以降は需給バランスが均衡に向かう過程であり、賃料上昇は物価上昇並みに落ち着いていく」と予想した。


東京圏の推移(一五不動産情報サービス資料より引用)

関西圏の10月の空室率は1・1%で、前期から0・7ポイントダウンした。下がったのは2四半期ぶり。

今期の新規供給が22万6000平方メートルに対し、新規需要が28万3000平方メートルで需要が若干上回ったためとみられる。

一五不動産は22年の動向について、新規供給は約50万平方メートルで今年の見通し(約120万平方メートル)の4割程度にとどまる見通しと分析。「当面は安定した需給環境が見込まれる。23年以降は開発計画が目白押しであることから、中期的な賃貸市況の見通しには若干の留意が必要」と解説している。

募集賃料は1坪当たり4030円で、前期から10円(0・2%)とわずかにダウンした。

調査対象は延べ床面積または敷地面積が1万平方メートル以上の案件で、東京圏は513棟、関西圏は151棟だった。


関西圏の推移(一五不動産情報サービス資料より引用)

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(一五不動産情報サービスホームページ)

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