【独自】スタートアップのRecustomer、ECの返品業務自動化サービスで物流対応も拡充へ

【独自】スタートアップのRecustomer、ECの返品業務自動化サービスで物流対応も拡充へ

配送追跡など可能に、顧客体験高め次の購入促進

スタートアップ企業のRecustomer(リカスタマー、東京都千代田区神田和泉町)は、小売事業者がECサイトで取り扱っている商品の返品や交換に関する業務を効率化できるサービス「Recustomer」をSaaS(Software as a Services)形式で提供している。

小売事業者は利用者からの返品・交換依頼受付や対応状況などをサービス上で一括管理。業務を委託している倉庫事業者のWMS(倉庫管理システム)とAPI連携し、在庫状況の更新も自動で済ませられるのが特徴だ。

今年6月にベータ版をリリース、既にアパレル企業が相次ぎ導入している。Recustomerは返品や交換の対応を迅速化することで、利用者がECサイトに対する満足度を高め、次の購買につなげられると意義を指摘。

今後は利用者が注文した商品の配送状況追跡など物流面での対応も拡充し、アパレル以外の化粧品や健康食品といった領域でECを展開する小売事業者らにもサービス利用を積極的に働き掛けていく構えだ。


サービスのイメージ(Recustomerウェブサイトより引用)

データを蓄積・分析し商品開発にフィードバックも可能

Recustomerのサービスはウェブサイト上でEC利用者から購入商品の返品や交換、キャンセルを受け付けている。返品などの理由や商品の状態を選択してもらい、その内容によって受け付けの可否をシステムが判断。受け付け可能であれば、利用者へメールを自動で送信し、次の行動を促している。

現状では、ECの販売や在庫管理に関してはシステム活用が一般的になっているものの、返品や交換などに関してはシステム化が進んでおらず、いまだにEC事業者が表計算ソフトやスプレッドシートでデータを手入力し管理しているケースが多い。

EC利用者は電話やメールを使わず、容易に返品などを申し込める上、EC事業者もRecustomerの管理画面を通じ、利用者の情報や返品などのリクエスト内容を一括で把握できるようになり、利用者とのやり取りなどに要する負荷を大幅に減らせるのがメリットだ。

返品された商品や返品理由をRecustomerで集計・分析し、商品開発に反映させることも可能。また、返品を申し込んできた利用者に、返金の代わりにクーポンの利用を提案する「ストアクレジット」にも対応する。


クーポン提案のイメージ(Recustomerウェブサイトより引用)

Recustomerを採用することで、EC事業者は返品に関わる業務を最大9割程度まで自動化できると見込んでいる。導入した企業では、返品受け付けから返金まで10数日要していたケースがあったが、最短で受け付け当日に返金対応を済ませられるようになったという。

商品購入のキャンセルがあった場合も、Recustomerから倉庫事業者へ自動連絡が行くため、倉庫側でも早急に対応できるのが魅力だ。既にECサイト構築支援のShopify(ショッピファイ)やEC自動出荷システムのLOGILESS(ロジレス)といった利用者の多いシステムともAPI連携を広げている。

Recustomerの柴田康弘代表取締役は「海外のEC事業者は返品を無料とするなど返品を顧客接点として次の購入につなげている。日本ではまだまだ、返品はただのコストとの意識が強いが、EC利用者のニーズをつかんで次の売り上げにつなげるチャンスと捉えてほしい。当社のツールでその手助けをさせていただきたい」と説明する。

これまでに10程度のアパレル企業がRecustomerを採用している。柴田氏は「アパレルの場合、EC利用者からの問い合わせ案件で最も多いのが返品に関すること。この部分の業務を効率化したいとのニーズは相当大きい」と期待を込める。

今後は購入者が商品の配送状況をそれぞれの宅配事業者に問い合わせなくてもRecustomer上で追跡、確認できるようにするなど、物流面のリクエストに対応できるようにしていく方針。柴田氏は「利用者が商品を購入した後の体験改善には積極的に取り組んでいきたい」と話しており、サービスの新たな機能として商品がリコールされた場合の顧客対応なども視野に入れている。

(藤原秀行)

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