2031~35年に物流拠点の完全自動化実現へ、「デマンドウェブ」構築も

2031~35年に物流拠点の完全自動化実現へ、「デマンドウェブ」構築も

経産・国交両省がフィジカルインターネット会議で工程表原案を提示

経済産業、国土交通の両省は12月21日、世界を大きく変えたインターネットの形を物流の世界で再現し、業務効率化や省人化などを図る考え方「フィジカルインターネット」を日本の物流領域で2040年までに実現するための方策を検討する官民の検討会議「フィジカルインターネット実現会議」の第4回会合をオンラインで開催した。

会議の事務局を務める両省は、40年までのロードマップ(工程表)の原案を提示。物流拠点の自動化・機械化については、30年までを「物流DX実現に向けた集中投資期間」と設定し、ロボットや各種自動化機器の導入を促進するとともに、31~35年に庫内作業を完全自動化していくとの流れを盛り込んだ。

会議は今後、原案を基に議論を進め、近くロードマップを正式に決定したい考え。

「物流・商流を超えた多様なデータの業種横断プラットフォーム」確立

ロードマップの原案は、フィジカルインターネットを達成するため、25年までの「準備期」、26~30年の「離陸期」、31~35年の「加速期」、36~40年の「完成期」と分類。準備期でパレット標準化や物流EDI(電子データ交換)普及、PIコンテナの標準化などを推進することを盛り込んだ。

離陸期から加速期にかけては、計画的な物流調整や利益・費用をシェアリングする上でのルールを確立するとともに、「物流・商流を超えた多様なデータの業種横断プラットフォーム」を確立すると説明。企業や業種の壁を越え、輸送や保管といった物流の各種機能とデータを共有できるようにする方向性も打ち出した。

また、準備期から離陸期にかけて、SCM・ロジスティクスを基軸とする経営戦略への転換を産業界で促し、加速期はトラックなどの車両や輸送機器、倉庫に加え、製造拠点もシェアして消費者の需要を精緻に予測したり、細かくニーズをつかんだりして最適な生産・物流を可能とする「デマンドウェブ」を構築することに言及した。

パフォーマンスの目標としては、現状は40%以下となっているトラックの積載率を、完成期には80%まで高めることを明記した。

この日の会議では併せて、建材・住宅設備業界として30年までのアクションプラン(行動計画)をまとめるための分科会を同会議の下に設置することも報告した。既にスーパーやドラッグストアなどの小売業界、百貨店業界に関しても同様の分科会を立ち上げている。


ロードマップの原案(国交・経産両省公開資料より引用)

(藤原秀行)

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