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【物流業界2022】第1回・環境変化へ対応せよ

【物流業界2022】第1回・環境変化へ対応せよ

日通持ち株会社体制移行、「存在感あるグローバルカンパニー」の試金石に

2022年が幕を開けた。新型コロナウイルス感染症はまだまだ予断を許さないものの、打撃を受けた経済を再生するため、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」などの環境変化に対応していくことが、物流業界も最優先課題となっている。

ロジビズ・オンラインは年始に当たり、今後想定される動きと、取るべき対応の方向性について探った。

世界規模で顧客SDGsやDX実現に貢献

国内物流業界を代表する存在の日本通運が、1月4日に持ち株会社体制に移行した。新たに発足した純粋持ち株会社「NIPPON EXPRESSホールディングス」(NXHD)の下に日本通運など国内外の事業会社が集結、グローバル規模で事業を拡大していくことを目指すのが狙いだ。

物流業界では既にセンコーグループホールディングス、セイノーホールディングス、ニッコンホールディングス、トナミホールディングスなどが持ち株会社体制を採用している。業界の盟主が新たに仲間入りする。

NXHDグループは日通創立100周年の2037年に、海外売上高比率を現状の20%程度から50%まで高めることを目標に掲げている。そのためには日系企業に加え、海外企業への食い込みが不可欠。営業体制の拡充だけでなく、世界的な潮流となっているSDGsや温室効果ガス排出削減、DX促進を世界規模の物流領域で実現できるようグループ内が連携を強化していくことも必須だ。

日本国内はeコマースの商品取扱量こそ伸びているものの、物量全体としては少子高齢化の影響で先細りが避けられない。NXHDがグループの経営目標で打ち出している「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」への移行は日本の物流業界全体に共有の課題でもある。

NXHDの齋藤充社長は「長期的視野に立ったサステナブルな経営を実践し、いつの時代にもお客様や社会から求められ、信頼される存在になることを目指すとともに、グループの力を束ねて、さらなる成長と、より一層の企業価値向上に努めてまいります」と抱負を語る。NXHDグループが既存の物流グローバル企業と伍して戦い、成果を挙げることは日本の物流業界が持続可能なモデルに移行できるかどうかの試金石にもなっていると言えそうだ。


グループのブランド「NX」(NXHDプレスリリースより引用)

「白ナンバー」飲酒運転対策、実効性向上が鍵

昨年、物流業界にも衝撃が走った、千葉県八街市で下校中の小学生を巻き込んだトラック死傷事故。警察庁は問題のドライバーが自社の従業員や荷物を運ぶ「白ナンバー」の車両を使っており、所属する事業所が飲酒検査をしていなかったことを重く見て、一定条件を満たす場合に白ナンバーの場合でもアルコール検知器を用いたドライバーの飲酒検査を義務付ける改正道路交通法施行規則を10月1日に施行する。既に厳格な規制を実施している営業用の「緑ナンバー」と平仄を合わせ、後を絶たない職業ドライバーらの飲酒運転を根絶したい考えだ。

警察庁の資料などによると、法定の「安全運転管理者」を配置し、全国の警察に届け出ている白ナンバーの事業者は2021年3月末時点で約34万社に上る。中小・零細事業所はコストの問題などからアルコール検知器の導入に消極的なところが少なくない上、今回の義務化は直接的な罰則がないことも気掛かり。規制強化の実効性を高めるため、政府を中心に検知器導入への補助拡大などの対策を併せて行い、物流業界もより自発的に取り組んでいくことが極めて重要だ。

千葉・八街の事故後、ドライバーの呼気にアルコールが含まれているのを検知した場合にトラックのエンジンがかからないようにする「アルコールインターロック」の普及を求める声が物流業界などから挙がった。飲酒運転根絶へ先端技術の活用が期待されるが、エンジンをかけた後に車内で飲酒するなど、機能を熟知したドライバーが抜け道を悪用するケースも残念ながらある。

ハード面の対策にとどまらず、飲酒運転を繰り返すドライバーの運送業界からの退場促進、ドライバーへの再発防止教育徹底、飲酒運転混雑に取り組む事業者へのインセンティブ供与など、ソフト面でもより思い切った対策に踏み切ることを検討する余地がありそうだ。

大阪の倉庫火災、日ごろの訓練や情報供給の重要さ浮き彫りに

年の瀬が迫る11月29日に大阪市此花区の日立物流西日本の倉庫で起きた火災は、鎮火まで約5日半を要し、12月6日に延べ床面積の7割程度に相当する約3万7800平方メートルを焼損してようやく消し止められた。この倉庫は複数の医薬品メーカーから業務を受託していたため、メーカー各社は西日本の顧客への出荷ルートを東日本の拠点経由に急きょ切り替えたり、一時的に出荷をストップしたりと対応を迫られた。

1階の段ボール製パレットから炎が燃え広がったとの目撃情報もあるが、大阪市消防局や警察の調査が続いており、現時点で原因は究明されていない。大型倉庫はもともと、保管している商品の品質維持のため開口部が少なく、内部にある商品も可燃性のものが多いことなどから、いったん火が出ると大規模な火災に至るリスクがかねて消防当局などから指摘されている。

17年に埼玉県三芳町で起き、鎮火までに12日間かかった大規模倉庫火災の際は、防火シャッターの6割程度が正常に作動していなかったことが判明。災の熱で配線がショートしていたことなどが原因とみられ、火災後の防火基準見直しにつながった。また、火災当時、倉庫にいたスタッフが屋外消火栓の使い方を間違えるなど初期消火に失敗していたことも明らかになり、日ごろの訓練や情報共有の重要さが再確認された。

今回の日立物流西日本の倉庫火災も初期消火がうまく行かなかったもよう。倉庫の構造自体は求められる機能上、大きく変えるのが難しいだけに、物流施設開発のデベロッパーと施設管理を担うアセットマネジメント会社、入居しているテナント企業が連携した防災訓練の徹底などがあらためて課題として浮上している。今回のように、医薬品など重要な製品を取り扱う倉庫は、日常の地道な対策が一層重要度が増していると言えそうだ。


激しく煙を噴き出して燃える倉庫(大阪市消防局ウェブサイトより引用)

(藤原秀行)

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