画面右下のベルマークから『プッシュ通知』受け取れます(iOSなど一部環境を除く)

“難度”高い地方の物流は「共同化」で維持を

“難度”高い地方の物流は「共同化」で維持を

政投銀四国支店が調査結果取りまとめ:荷主と物流事業者、第三者の連携提唱

日本政策投資銀行(政投銀)の四国支店は2021年11月24日、人口減少や少子高齢化が進む四国域内で物流を持続可能なものとするため、共同物流に関する事例の調査結果を取りまとめた。

既に他地域で展開されている多様な共同物流のケースを分析した上で、四国の社会・産業基盤の持続可能な成長を実現するために共同物流の推進が必須との姿勢を明示。SDGsやカーボンニュートラルといった世界的潮流にも合致しているとの見方を明らかにした。

加えて、複数の荷主企業が目的意識を共有し、共同物流の推進主体になる場合はサービスレベルや商慣行、納品条件の見直しといった課題の解決に取り組みやすくなると分析。荷主企業と物流事業者、IT企業などの第三者の各プレーヤーが連携することに強い期待を見せた。

全国各地でトラックドライバーの不足など、地域の物流ネットワークを維持するのが厳しくなっていることが確認されており、政投銀としては四国の現況を踏まえた共同物流の推進提案が各地に横展開されていくことに強い期待を込めている。

「サービスレベル見直し」などポイントは3点

調査結果は、まず四国地域の物流の特徴を共同物流推進の観点から説明。中央に四国山地が連なっているため南北を遮られ、中心都市を中軸としたハブ&スポーク網の構築が困難なことや、面積の大半が過疎地域に該当し基幹一般道が充実していないエリアも残っているために低積載の貨物を長時間かけて運行せざるを得ないケースがあることなどを列挙している。

併せて、域外との物流に関しては、橋を通る必要があり通行料金がかさむ上、帰り荷として積む荷物の量が少ないため、サプライヤーや運送会社が四国への輸配送を敬遠する動きにつながる懸念があると指摘。さらに、人口減少や少子高齢化が他地域より進んでいるため、トラックドライバーら物流の担い手確保が困難になりつつあり、こうした現状を“物流難度”が高いと表現している。

調査結果はその上で、合わせ積みや帰り荷確保の「域内共同物流」と、長距離輸送の途中でトラックを積み替える中継輸送やモーダルシフトの「域外共同物流」に大別。「今後も物流機能を維持すべく、域内物流と域外物流の両方において共同物流の取り組みを進めていく必要がある」との見解を示している。

他地域での共同物流の事例として、ライオンやエステー化学、サンスターといった日用雑貨品メーカーが共同出資したプラネット物流、カゴメや日清オイリオグループといった食品メーカー6社が共同で立ち上げたF-LINE、日清食品ホールディングスとアサヒ飲料など12のケースに言及。域内と域外の両方を対象とした共同物流を列挙しており、成功要因として、異なる商品の組み合わせで積載率向上と季節波動平準化を果たしたり、伝票や受注・納品時間統一といった標準化を推し進めたりしたことなどを紹介している。

並行して、四国地域で共同物流に取り組んでいる物流事業者らにヒアリングした結果を引用。「域内共同物流は物流規模の安定した中核となるベースカーゴを有する顧客が必要」などの声を紹介するとともに、「物流コスト抑制以上に物流を維持していくことを目的に諸々の改革に取り組んだ」との切実な声も明らかにしている。

総括として、共同物流を成功させるには仕分け作業負担の軽減などの「サービスレベルの見直し」、パレット導入などの「標準化」、配車システム活用などの「IT化」の3点がポイントになると解説。「共同化を主導する推進主体の存在がある場合には、共同物流がよりうまくいく可能性が高まる」と推察している。


3つのポイント(政投銀調査結果資料より引用)

具体的な内容として、サービスレベルの見直しは受注データ締め時間や納品時間の統一、決まった曜日の配送、納品リードタイムの1日延長などを報告。「ある程度荷主が譲歩することに加えて、交渉力を高めて納品先との折衝に当たる必要があると考える」と述べている。

標準化は納品伝票や外箱・外装表示、パレットやコンテナといった物流資材の仕様統一などを挙げ、サプライチェーン全体を最適化することを提案。IT化はAIを使った共同物流参加企業のマッチングなどを生かすことで「共同物流の基盤が構築され、帰り荷確保のみならず、中長期かつ業種を越えた大胆な共同物流を推進しやすい面がある」と分析している。

荷主企業が共同物流の主体となる場合は「力強い推進力が期待される」とみており、複数の荷主企業が同じ目的意識を共有して主体的に仕組みづくりへ関与していくケースは課題解決に取り組みやすい傾向が見られたと紹介。荷主企業が積極的に共同物流へ関わることを強く推奨している。

物流事業者に関しては、運行や納品に関する諸作業も共同化する必要があるとの理解が求められるとの見方をアピール。IT企業など第三者がコーディネーター役として仲介する役割が期待されるとも記述しており、荷主企業と物流事業者、第三者が有機的に結び付くことを強く促している。

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(政投銀ウェブサイト)

経営/業界動向カテゴリの最新記事