帝国データバンク調査
帝国データバンク(TDB)は1月26日、企業が原材料費など仕入れ単価の上昇をどの程度販売価格に転嫁できているかの実態調査結果を公表した。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う物流の混乱などの影響で、仕入れ単価が上昇した企業のうち、販売単価も前年同期より上がっていると答えた割合は全体の43.8%に達したが、変わらないと回答した企業が47.9%で多く、価格転嫁が進んでいないことがうかがわれた。軽油などの価格高騰に直面している運輸・倉庫業もその傾向が目立った。
仕入れ単価が前年同月より上昇した企業の割合は2021年12月が64.2%で、リーマンショック直後の08年9月(65.5%)に届きそうな状況だ。
調査は21年12月16日から今年1月5日にかけて実施。全国の2万3826社を対象とし、45.2%の1万769社が有効回答を寄せた。このうち運輸・倉庫業は520社だった。
前年同月に比べて仕入れ単価が上がった割合を上位25業種別に見ると、最も割合が大きかったのが「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」の92.7%、次いで「鉄鋼・非鉄・鉱業」(88.7%)、「化学品製造」(83.3%)、「飲食店」(83.1%)などとなった。「運輸・倉庫」は60.0%だった。
仕入れ単価が上がった企業のうち、販売価格も上昇した比率は「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」が87.2%で際立った。しかし、「運輸・倉庫」は19.2%にとどまり、「パルプ・紙・紙加工品製造」(10.9%)、「出版・印刷」(17.7%)に次いで3番目に低かった。
(藤原秀行)