物流施設の賃料見通し、1年半ぶり「横ばい」が最多に

物流施設の賃料見通し、1年半ぶり「横ばい」が最多に

一五不動産情報サービス調査、上昇勢いに陰りと指摘

工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービスは2月19日、不動産業界の関係者らを対象として半年ごとに行っている物流施設の不動産市況に関するアンケート調査結果を公表した。

半年後の賃料水準に関する見通しを聞いたところ、「横ばい」が52.6%で最も多かった。「上昇」は44.2%、「下落」が3.2%だった。「横ばい」が最も多くなったのは2020年7月以来、1年半ぶり。

「上昇」は21年1月が57.5%、前回の21年7月が51.9%と減少傾向が続いている。「下落」も前回の1.2%からわずかながら拡大した。同社は「新型コロナウイルス禍で順調に進んだ賃料上昇の勢いに陰りが見られる」と指摘した。


(一五不動産情報サービスリリースより引用)

上昇と展望した理由は「土地価格や建築費などの開発コストが上昇し、その分の賃料転嫁が進むため」が32回答で最多。前回調査の25回答から大幅に増えた。また、「長引くコロナ禍でeコマースの需要がさらに拡大するため」が22回答、「飲食料品・日用雑貨・医薬品など、幅広い業種で堅調な需要が期待できるため」が20回答、「老朽化した保管型倉庫から、高機能な物流施設に需要がシフトするため」が16回答、「労働力不足で雇用面で優位性のある高機能型物流施設のニーズが高まるため」が11回答で続いている。

同社は「賃料上昇理由のトップが、開発コストの上昇が賃料上昇に繋がるというコストプッシュ型で、その後にディマンドプル型の上昇理由が続いている」との見方を示した。

横ばいの理由は「新規開発による供給増と物流ニーズの増加が均衡するため」が31回答でトップとなり、前回調査の19回答から大幅に増加した。また、「コロナ禍で加速した賃料上昇に、上げ止まりの兆しがみられるため」が16回答、「景気後退による収益性の低下と需給ひっ迫による賃料上昇圧力が均衡するため」が11回答だった。

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(一五不動産情報サービスウェブサイト)

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