国交省公示地価、コロナ禍で打撃の昨年から伸び幅拡大
国土交通省が3月22日発表した2022年1月1日時点の公示地価は、住宅、商業、工業の全用途平均(1平方メートル当たり)は全国で前年実績から0.6%上昇し、2年ぶりのプラスを記録した。
21年は新型コロナウイルスの感染拡大で飲食店や小売店の経営が不振に陥るなど、経済が打撃を受けたことが響き、15年以来6年ぶりに前年を割り込んだ。その後、感染拡大の影響が一定程度緩和、経済が持ち直していることが地価を押し上げた。
物流施設などの工業地は全国平均(調査地点1044カ所)で2.0%上がり、6年連続でプラスを記録。コロナ禍で上昇の勢いが鈍化した21年実績(0.8%)から拡大した。eコマースの成長に伴う先進的な物流施設の需要増などが下支えし、大きな伸びを見せた。
国交省は「インターネット通販の拡大に伴う大型物流施設用地の需要が強く、高速道路のインターチェンジ周辺などの交通利便性に優れる物流施設の適地となる工業地では地価の上昇率が拡大している」と指摘、従来の見解を維持した。
工業地の平均変動率を圏域別に見ると、東京圏(226カ所)は3.3%と9年連続の上昇を達成。大阪圏(184カ所)も2.5%で7年連続上がり、名古屋圏(97カ所)は1.6%上昇して2年ぶりのプラスだった。
地方圏は、主要4市(札幌、仙台、広島、福岡の41カ所)が7.4%で9年連続上昇、それ以外の地方都市(496カ所)も0.8%で4年連続の上昇となった。いずれの地域も21年の伸び幅から拡大した。
(藤原秀行)