22年の世界成長予想、2.9%へ大幅引き下げ

22年の世界成長予想、2.9%へ大幅引き下げ

世界銀行、ウクライナ侵攻など影響と想定

世界銀行は6月7日、世界経済の見通しを改定した。

グローバル全体の経済成長率は2022年が物価変動の影響を除いた実質ベースで、今年1月時点の見通しの4.1%から2.9%へ大きく引き下げた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染拡大)に加え、ロシアによるウクライナ侵攻で資源価格高騰が長期化していることなどが響くとみている。

23年に関しても1月時点の3.2%から3.0%へ下方修正した。

世界銀行のデイビッド・マルパス総裁は「ウクライナの戦争、中国のロックダウン(都市封鎖)、サプライチェーンの混乱、そしてスタグフレーション(インフレと景気悪化の同時進行)のリスクが成長を打ちのめしている。多くの国で景気後退の回避が困難になる」と警告。

「生産を奨励し貿易規制を回避することは急を要する。資本の誤った配分と不平等を避けるため、財政、金融、気候変動、および債務の各政策での変換が必要だ」と各国政府に財政出動などの対応を要望した。

主要国・地域別の成長率予想を見ると、米国は22年が3.7%から2.5%、23年が2.6%から2.4%にそれぞれ下方修正。ユーロ圏(欧州)も22年が4.2%から2.5%、23年が2.1%から1.9%に引き下げており、ウクライナ危機の影響を色濃く受けるとみている。

日本は22年が2.9%から1.7%に下方修正した一方で、23年は1.2%から1.3%へ引き上げた。

中国は22年が5.1%から4.3%、23年が5.3%から5.2%へ引き下げた。

新興・開発途上国全体では22年が4.6%から3.4%、23年が4.4%から4.2%に変更。21年の6.6%から成長にブレーキがかかると想定している。

原油や資源の価格は22年に大きく上昇する一方、23年には高騰が鈍化に向かうとみている。

(藤原秀行)

見通し改定の概要はコチラから(世界銀行ホームページ・日本語)

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