3キロメートルを10分間で移動
楽天と東京電力ベンチャーズ、地図大手のゼンリンは1月25日、埼玉県狭山市の浦山ダム周辺でドローン(小型無人機)を使った物流の実証実験を行った。同市とも連携し、操縦者らの目が届かない遠距離を、途中の経路に補助者を置かずにドローンを飛ばす「目視外飛行」で商品を配送、無事成功した。
実験は国土交通、環境両省の事業の一環として実施。ダムから約3キロメートル離れたレクリエーション施設のバーベキュー場を利用している人が、買い忘れた虫刺されの薬やウェットティッシュ、紙皿を楽天の専用ショッピングアプリで購入、届けてもらうという場面を想定して行われた。
ドローンは楽天が自律制御システム研究所(ACSL)と共同開発した国産の機体を利用。約250グラムの商品を搭載し、同日昼前にダムを離陸した後、周辺にある東京電力の鉄塔と送電網に沿う形で、約10分かけて目的地まで自動的に飛行、着陸した。
鉄塔の上約30メートルを飛ぶように設定しており、スピードは最大で時速約30キロメートル。飛行に際しては3次元の地図データや周辺の気候や風速を考慮しながら、ドローンが自動でルートを調整した。目視外飛行によるドローン物流の実験に成功したのは、昨年11月の日本郵便に次いで2例目。
荷物を積み込んで離陸するドローン
荷物を載せて飛び立つドローン
鉄塔に沿って飛ぶドローン
無事自動的に着陸するドローン
楽天は19年度中のドローン定期配送サービス開始目指す
3社は鉄塔や送電線を使い、ドローン専用の飛行空域を設定して物流企業などに提供する「ドローンハイウェイ構想」を推進している。今回の実験の成果などを踏まえ、構想の早期実現を目指す。
楽天は既にゴルフ場での商品配送などにドローンを活用してきた。実験で得た知見を生かし、19年度中に中山間地など人口の少ない地方エリアでドローンによる定期的な配送サービスを始めたい考えだ。
(藤原秀行)