セイノーHDとラクスル、物流業務効率化の「ハコベル事業」で合弁へ★続報

セイノーHDとラクスル、物流業務効率化の「ハコベル事業」で合弁へ★続報

8月に分社化、トラックドライバー不足深刻化など受け連携強化

セイノーホールディングス(HD)とラクスルは6月10日、物流業務効率化で新たに連携すると発表した。

ラクスルが手掛けている、荷主企業や物流事業者の業務効率化をサポートする「ハコベル事業」を今年8月1日付で分社化し、新会社「ハコベル」を設立。その上でハコベルがセイノーHD向けに第三者割当増資を行うほか、ラクスルがハコベル株の一部をセイノーHDに譲渡、合弁の形に移行する。

第三者割当増資の発行総額は約15億円で、譲渡額は開示していない。ハコベルへの最終的な出資比率はセイノーHDが50.1%、ラクスルが49.9%となる予定。

ハコベル事業は2015年12月にサービスを開始。運びたい荷物とトラックをマッチングするサービスとして軽貨物が対象の「ハコベルカーゴ」、一般貨物が対象の「ハコベルコネクト」を手掛け、配車などの効率化を支援。21年7月期の事業売上高は29億3600万円に上る。

トラックドライバー不足の深刻化などを踏まえ、両社が連携を強化して業務効率化に注力、物流業界の発展に貢献していきたい考え。セイノーHDが持つ全国的な車両や物流拠点のネットワークなどの豊富な経営リソースと、ラクスルの技術力組み合わせ、ハコベルのサービス内容を拡充していく構えだ。

今後は鉄道貨物輸送を組み合わせた、より環境負荷の低い輸送の提案を可能にしたり、地方エリアでドローンを使い配送を効率化したりすることも念頭に置いている。トラックドライバーの採用支援、燃油の調達効率化によるコスト低減などにも踏み込むことを視野に入れている。セイノーHDとラクスルは協業でより多くの荷主企業や運送事業者が参加した「オープンパブリックプラットフォーム」に育てていきたい考え。

東京都内のラクスル本社で記者会見したセイノーHDの田口義隆社長は、ラクスルとの合弁に乗り出した経緯として「ラクスルの松本恭攝社長CEO=最高経営責任者=と勉強会でお会いしたが、自社の利益よりいかに公に尽くすかを考えていらっしゃる。われわれも『輸送立国』というミッションを持っているが、同じ方向性を持っていると分かった」と説明。

ラクスルの松本CEOは「ハコベルは事業として単独で回るところまで成長してきたが、今のままだと日本の物流のインフラになるところまで非常に長い時間がかかると思った。自社単独ではなく、物流インフラの中心にいらっしゃる方と一緒に運営することでよりハコベルが広まっていくのではないかと考えた」と強調した。

ハコベル社長に就任するラクスルの狭間健志執行役員ハコベル本部長はハコベルの売り上げ目標を問われたのに対し「数年で数百億円に引き上げたい。業界の中でもプレゼンスがある領域まで伸ばしていきたい」との意向を示した。


会見後の撮影に応じる(左から)セイノーHD・田口社長、ラクスル・狭間執行役員と松本社長CEO(ラクスル提供)

(藤原秀行)

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