物流改善賞はSBS東芝ロジ、NTTロジスコサービス、キユーソーエルプラン、アサヒロジ
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)と日本物流資格士会は6月15日、2022年度の物流改善賞の表彰式を東京都内で開催した。
最優秀物流改善賞(21年度までの「物流合理化賞」から名称変更)はNX・NPロジスティクス、花王、本田技研工業(ホンダ)の3社にそれぞれ授与した。NX・NPロジスティクスは21年度に続いての受賞となった。
物流改善賞は今年が36回目。1つの作業所(現場)で完結する、小集団などによる活動が対象の「物流業務部門」(物流センター等での現場改善)、複数の物流業務および工程を統合した範囲が対象の「物流管理部門」(運営・管理部門での改善)の2部門で改善事例を募集、応募事例の中から選考した。
NX・NPロジスティクスは物流業務部門、花王とホンダは物流管理部門で受賞した。
また、優秀物流改善賞(21年度までの「物流合理化努力賞」から名称変更)は、物流業務部門がSBS東芝ロジスティクスとNTTロジスコサービス、キユーソーエルプランの3社、物流管理部門がアサヒロジの1社がそれぞれ選ばれた。
各社の受賞内容の概要は以下の通り。
2022年度最優秀物流改善賞(3件)※社名は50音順
【物流業務部門】
1)
受賞事例:IEを活用した”ONE TEAM”による全体最適な庫内運営の実践 ~更なるユニットロードのSHINKAに挑戦~
受賞企業:NX・NPロジスティクス株式会社
事例概要:ユニットロード化に取り組む中、車輌の出発時間が変化しない等、庫内作業の部分的な改善は図れるものの、全体的な改善にまで至っていない状況となっていた。その解決に向け、荷役作業から車輌出発までの工程をIE手法により分析、全体最適化に向けた取り組みを行い、持続的なユニットロード化の実現を目指した。
【物流管理部門】
2)
受賞事例:withコロナ:在宅勤務を中心とした働き方改革およびBCP対応 ~物流事務作業の標準化とデジタル化によるリモート化及び生産性の向上~
受賞企業:花王株式会社
事例概要:在宅勤務を中心とした働き方を目指すとともに、より一層のデジタル活用を図ることで生産性を50%改善することを目標とし、業務分析を行い、新たな業務の標準化を図った。標準化作業の一部をRPA(業務自動化)化し、生産性を52%高めるとともに、在宅勤務を中心とした働き方へ改善した。
3)
受賞事例:新ケースレス輸送治具導入による二輪完成車輸送の標準化
受賞企業:本田技研工業株式会社
事例概要:二輪完成車が持つ特殊な荷姿特性を、新規開発した輸送治具に商品車両を積載することで標準化。作業効率、輸送品質の向上と同時に、トラックドライバーに手押しや縛着といった特殊技能を要求しない輸送を実現した。同社が進める全世界完成車荷姿戦略の皮切りとして、小型車用の汎用パレットをベトナム国内に先行導入した。
2022年度優秀物流改善賞(4件)※社名は50音順
【物流業務部門】
1)
受賞事例:ダイバーシティ推進による組織風土の活性化~女性従業員に優しい倉庫環境作り~
受賞企業:SBS東芝ロジスティクス株式会社
事例概要:女性が多い職場でアンケートを実施した結果、困っていることは日次棚卸作業に時間を要していることだった。棚卸作業の工数増加要因は部品納入数の変動よる部品の複数格納、取り出しにくい場所への格納が要因だった。入出荷の多い部品のロケーション配置を見直し、格納・ピッキングの標準化を図り、日次棚卸作業工数の削減に成功した。
2)
受賞事例:見える化ソリューションとWMSを利用した生産性の向上施策
受賞企業:株式会社エヌ・ティ・ティ・ロジスコサービス
事例概要:見える化ソリューションより抽出した作業者毎の生産性データから、最も生産性の高い作業者をモデルスタッフとして設定、その作業を動画で検証した。その結果と他のスタッフとの作業の相違点を抽出、作業の標準化を進めた。併せてピッキング・検品等の作業標準化や、作業レイアウトの改善等複数の施策を進め生産性向上を実現した。
3)
受賞事例:ダブルトランザクション ~保管エリアと出荷エリアの切り分けによる保管効率・出荷作業効率の向上を目指す~
受賞企業:株式会社キユーソーエルプラン
事例概要:昨今の出荷の少量多品種化に伴い、以前と比べ出荷作業に時間を要するようになった。現状の人員で指定時間内に作業を終えるために、出荷エリアと保管エリアの区分けをし、保管エリアから出荷エリアへ設定した閾値分の安全在庫数を補充する流れに変更したことで、出荷作業時の移動時間の削減を実現し作業効率向上に繋げた。
【物流管理部門】
4)
受賞事例:OCR導入による伝票入力業務の時間短縮
受賞企業:アサヒロジ株式会社
事例概要:OCR(光学式文字読み取り装置)の導入により、空容器・パレット伝票の入力時間短縮を目指した取り組み。OCRの伝票読取率の低さや読取データ加工工程の複雑さ等の課題解決に取り組み、年間で420時間の時間短縮を実現。伝票入力業務の動画手順書も作成し、業務習熟期間の大幅短縮にも成功した。
遠藤信博JILS会長(当時、中央)と撮影に応じる最優秀物流改善賞の受賞者
(本文・藤原秀行、写真・川本真希)