国交省が「標準内航運送約款」などの改正案公表
国土交通省はこのほど、海運業界で広く使われている「標準運送約款」と「標準内航運送約款」の改正案をまとめた。ガソリンや化学薬品、火薬といった危険品を運ぶ場合、安全に届けられるよう荷主が運送事業者に必要な情報を通知することなどを新たに盛り込んだ。
同省は今月17日から2月15日までの間、改正案のパブリックコメント(意見募集)を実施しており、集まった意見を踏まえ、4月1日付で改正したい考え。
運送に関する取引規定を見直した改正商法と改正国際海上物品輸送法が昨年の通常国会で成立、今年4月1日付で施行されるのを受け、有識者による検討会で議論。約款の関連する箇所を見直すとともに、社会環境の変化にも対応した。
改正案は、爆発する恐れのある物や放射性物質、銃砲、刀剣などを運ぶ場合、荷主は事前にその旨を運送事業者へ伝えるとともに、取り扱いや運送の上で留意べき点を通知する義務を負うこととした。
また、荷物の種類や重量、状態、価格などを契約締結前に書面で通知することを明記。運送事業者の承諾を得られれば電子メールで通知することを可能とした。
さらに、輸送時に荷物が減失した場合に加え、新たに到着が遅れた場合の賠償についてもルールを整理。船員に悪意や過失がないと証明できなければ賠償責任を負うことや、賠償額は運賃などの総額を上限とするといった事項を打ち出した。
このほか、高価な品物を輸送する際、運送事業者が事前にそのことを知っていた場合は破損などが生じても免責にならない場合があるものに自動車を追加。RORO船などの自動車輸送に配慮した。
(藤原秀行)