関西3空港からの廃食用油を活用、25年に日本初の大規模商用生産開始目指す
日揮ホールディングス(HD)は6月29日、関西エアポート、レボインターナショナルの両社と、関西エアポートグループが運営する3空港(関西国際空港・大阪国際空港・神戸空港)の飲食店などから出る廃食用油について、日揮HDとレボインターナショナル、コスモ石油が推進している環境負荷の低いSAF(Sustainable Aviation Fuel、持続可能な航空燃料)製造事業向け原料として供給することに協力する基本合意書を締結したと発表した。
SAFは廃食用油や植物・動物油脂、木質バイオマスなどから製造しており、CO2排出量を大幅に減らせると期待されている。日本は国土交通省が2030年をめどに航空燃料へのSAF混合率を10%にすることを目標に設定。国産SAFの安定的な供給が必須のため、日揮HDが各社と連携、航空領域の脱炭素促進へ体制整備を図る。
SAF製造事業は日揮HD、レボインターナショナル、コスモ石油が大阪府堺市のコスモ石油堺製油所を拠点に、国内初となるSAFの大規模商用生産を目指しており、大阪・関西万博が開催されSDGsについてさらに関心が高まる2025年に供給できるよう、年産約3万キロリットルのプラントを稼働させる計画。
基本合意に基づき、関西エアポートは運営する3つの空港内で事業を行う飲食店や、空港内のホテル、機内食製造工場に加え、地元の飲食店や学校、地域住民などへSAFの重要性を広めるとともに、廃食用油の収集への協力を呼び掛ける。レボインターナショナルは、関西エアポートから紹介された収集先で廃食用油を回収、日揮HDなどが計画するSAF製造事業向けに運搬する。日揮HDは廃食用油を原料とするSAF製造事業の全体取りまとめを担う。
「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」に参加している日揮HDと関西エアポートは、官民協議会などを通じて政府・自治体とも連携し、国産SAFの量産に関する技術的・経済的な課題解決を図る。
(日揮HD提供)
(藤原秀行)