天然ゴムの調達、ブロックチェーンで透明化へ

天然ゴムの調達、ブロックチェーンで透明化へ

伊藤忠商事がインドネシアで実証実験

 伊藤忠商事は2月1日、複数のコンピューター間で情報を迅速に共有できる技術「ブロックチェーン(BC)」を使い、インドネシアで車のタイヤなどに用いられる天然ゴムの調達過程を透明化する実証実験を近く始めると発表した。

 傘下の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が情報システムを構築。グループの現地法人が手掛ける天然ゴム製品について、原料生産や輸送、加工といった工程に携わる多くの関係業者間の取引記録をクラウドベースで保存。調達の履歴を追跡できるようにし、取引が適正かどうかを見極めやすくする。

 
 

 関係者はスマートフォンのアプリを使用し、日時や位置、数量などの取引内容を互いに認証。将来は関連情報を正しく記録した取引には対価を支払う仕組みも検討し、BC活用へのインセンティブを高める。記録の改ざんが極めて困難なBCの強みも生かしたい考えだ。


実証実験の概要(伊藤忠商事提供)※クリックで拡大

 伊藤忠商事は実証実験を進める背景として、世界的なモータリゼーションを受けて今後も天然ゴムの需要が見込まれる一方、「森林減少や地域住民の権利侵害といった課題も報告されていることから、環境や人権に配慮した事業活動を推進していくことが不可欠」と説明。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成にも貢献していく構え。

 同社は2018年に世界のタイヤメーカーなどが結成した「持続可能な天然ゴムのためのグローバルプラットフォーム(GPSNR)」に日本の商社として初めて参加した。今後も調達の適正化・透明化をさらに推進する。

(藤原秀行)

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