カーボンニュートラル達成へニーズ増に対応
川崎汽船と川崎近海汽船は8月25日、洋上風力発電設備の導入に必要な海洋作業船の運営を手掛ける合弁会社ケイライン・ウインド・サービスを通じ、五洋建
設と洋上風力の建設・保守分野における船舶管理などに関する協業について覚書を締結したと発表した。
国内では政府が掲げる2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現のため、再生可能エネルギーの主力として洋上風力発電の供給拡大が期待されており、洋上風力建設の動きが全国で本格化している。
五洋建設は、国内初の大型クレーンを搭載したSEP船(自己昇降式作業台船)「CP-8001」(800トン吊)を19年に就役させたのを皮切りに、鹿島・寄神建設と共同で建造中のSEP船「CP-16001」(1600トン吊、23年3月就役予定)、および洋上風力建設を担うベルギーのデメ・オフショアとの合弁会社ジャパンオフショアマリン(JOM)が保有予定のSEP船「Sea Challenger」(1600トン吊に改造予定、25年春就役予定)と合わせて3隻のSEP船を保有する計画。
また、今後もケーブル敷設船など洋上風力建設の競争力強化に必要な作業船を拡充することを準備している。
ケイライン・ウインド・サービスは、川崎汽船グループが国内外で培ってきたオフショア作業船・支援船事業の豊富な経験を結集し、洋上風力建設・保守分野に貢献するため、川崎汽船と川崎近海汽船の合弁会社として21年6月に発足した。川崎近海汽船と五洋建設はこれまでもSEP船「CP-8001」の曳船としてオフショア支援船「かいこう」(6000馬力、21年竣工)を新造するなど、協業関係を築いてきた。
21年竣工 オフショア支援船「かいこう」
海洋土木工事や洋上風力建設に強みを持つ五洋建設と、国内外で各種貨物船やオフショア支援船の運航に関する豊富な経験とノウハウを有する川崎汽船グループのケイライン・ウインド・サービスが組み、それぞれの得意分野と経営資源を活用して、洋上風力建設・保守に関わる船舶の管理(運航、保守、船員)などでタッグを組むことにした。
五洋建設は子会社のJOMが所有予定の外国船籍SEP船の日本船籍への変更などの業務と、その後の運航・保守・船員の管理業務について、ケイライン・ウインド・サービスに委託するとともに、ケイライン・ウインド・サービスが保有するオフショア支援船を活用する。さらに、運転開始後の保守(O&M)に必要な大型作業支援船(SOV=Service Operation Vessel)といった船舶についても、両社で協業を前提に検討していく方針。
16年竣工 オフショア支援船「あかつき」(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)